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実る
「実る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球図」より 著者:太宰治
ちらと歩かせつつ、万国のめずらしい話を語って聞かせた。黄金の産する国。たんばこの
実る国。海鯨の住む大洋。木に棲《す》み穴にいて生れながらに色の黒いくろんぼうの国....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
る豪勢《ごうせい》さでした。
途中《とちゅう》、サンキスト・オレンジのたわわに
実る陽光|眩《まば》ゆい南カルホルニアの平野を疾駆《しっく》、処々に働いている日....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
は余り沢山には殖えないものなのであろうか知ら? 御存じの通り、稲塚、稲田、粟黍の
実る時は、平家の大軍を走らした水鳥ほどの羽音を立てて、畷行き、畔行くものを驚かす....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
。男体山麓の噴火口は明媚幽邃の中禅寺湖と変わっているがこの大噴火口はいつしか五穀
実る数千町歩の田園とかわって村落幾個の樹林や麦畑が今しも斜陽静かに輝いている。僕....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
は、ここの工人と、自分等の内地に於ける生活とを思い較べた。 村で、間もなく麦が
実ることを思い、すこし、ボケかけた親爺がどうしているかな、――と考える者もあった....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
湯河原ではN――旅館の月並みな部屋に落ち着いたが、かつて庸三が丘に黄金色の蜜柑が
実るころに、弟子たちを引き連れた友人とともに、一ト月足らずも滞在していたころの面....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
Sweety だった。 すでに甘味だから、ペトラはあの、アンダルシアの荒野に
実る黒苺みたいな緑の髪と、トレドの谷の草露のように閃めく眼と歯をもつ生粋のすぺい....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
わや、漕いで入る船の艪櫂の音も、水の底に陰気に聞えて、寂しくなるがの。その時稲が
実るでござって、お日和じゃ、今年は、作も豊年そうにござります。 もう、このよう....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
が好で、殊に二百十日前後は、稲穂の波に、案山子の船頭。芋※の靡く様子から、枝豆の
実る処、ちと稗蒔染みた考えで、深山大沢でない処は卑怯だけれど、鯨より小鮒です、白....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
と二郎が猛気とを知るがゆえに、年若き夢想を波濤に託してしばらく悠々の月日をバナナ
実る島に送ることぞと思えり、百トンの帆船は彼がための墓地たるを知らざるなり。知ら....
「多頭蛇哲学」より 著者:太宰治
れた意味など、寸毫もないわけだ。柿は、こんな大きさで、こんな色をして、しかも秋に
実るものであるから、これこれの意味であろうなど、ああ死ぬるほどいやらしい。象徴と....
「歳時記新註」より 著者:寺田寅彦
時の光の色を分析してみると普通の電光とちがう事が分る。稲妻が光る度に稲が千石ずつ
実るという云い伝えがあるが、どういう処から割り出したものであろう。近頃海外では農....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
がよろしいというのは、ここが団栗林に富んでいるからであると言う。団栗は、楢の木に
実るのが第一に粒が大きく次が椚、樫という順になる。猪は団栗が大好物で、楢の実をふ....
「飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
の懐と化してしまったのである。その最大の原因は、五月の稲の植付時から、九月の稲の
実る節まで、僅か数日を除いた他の百数十日は、只の一日も平年の温度には達しなかった....
「からすとかがし」より 著者:小川未明
子鳥たちは、たびたび、いいきかされたのでよく守っていました。 また、来年、稲の
実るころになると、太吉じいさんは、新しいかがしを造りました。去年の子鳥たちはもう....