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「実世間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

実世間の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
若杉裁判長」より 著者:菊池寛
ば、それは賭場へ手が入ったので、珍しくもなんともないのですが、その頃は、そうした実世間のできごとにまったく無経験であった若杉さんは、呆気にとられて見ていたとのこ....
現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
れで差支《さしつかえ》ない、定義の便宜があって弊害のない結構なものですが、これは実世間に存在する円《まる》いものを説明すると云わんよりむしろ理想的に頭の中にある....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
作るとは云いながら、自分の計画通りに進行しかねる場合がよく起って来るのは、普通の実世間において吾々の企《くわだ》てが意外の障害を受けて予期のごとくに纏《まと》ま....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
ずか一二カ月の中であった。病《やまい》が癒《なお》るに伴《つ》れ、自己がしだいに実世間に押し出されるに伴れ、こう云う議論を公けにして得意なオイッケンを羨《うら》....
鉄鎚」より 著者:夢野久作
知れない。しかしこれは私の正真正銘のところであった。私はそれほど左様《さよう》に実世間とかけ離れた世界に生きている人間であった。私は私の神経が、実世間のいかなる....
貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
、何の思い遣りも、容赦もなく米の俵を運び去ってしまうのは如何なる人種であるのか?実世間のことを少しずつ見聞して、大人の生活が分りかけて来た彼等男の子等の胸は、両....
能とは何か」より 著者:夢野久作
来能楽の家元というものは、政治や何かの方で云う大統領とか、首相とか、親分なぞいう実世間的な仕事をするものと違って、自流の芸術的主張を維持し研成する任務を持ってい....
球根」より 著者:寺田寅彦
く事のできないなぞを墓の中まで持ち込むかもしれなかった。 彼の生活が次第次第に実世間と離れて行くのを自分でも感じていた。彼と世間を隔てている透明な隔壁が次第に....
青年」より 著者:森鴎外
の対話が書いてある。話題は過ぎ去ったものとしての自然主義の得失である。次第次第に実世間に遠ざかって、しまいには殆ど縁の切れたようになった文芸を、ともかくも再び血....
沈黙の塔」より 著者:森鴎外
というものの性質がそうしたものであるから、芸術家、殊に天才と言われるような人には実世間で秩序ある生活を営むことの出来ないのが多い。Goethe が小さいながら一....
失策記」より 著者:豊島与志雄
御用立出来ないとは、如何にも理路整然としているし、その論理が面白いのである。然し実世間はみなそうしたものであろう。私は自分の迂濶さを笑い、豁然と眼が開けた思いを....
三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
オトに取って置いたことがある。この文は普通道徳家例えば『益軒十訓』などの文と違い実世間的な教訓を織りまぜたものであって、いつしか少年の私の心に沁み込んで行った。....
ヂュパンとカリング」より 著者:小酒井不木
はかのフランスの名探偵ゴロンが特に指摘した点である。しかし小説は畢竟小説であって実世間の記録ではないから、今後の探偵小説家も、よろしく、警察の探偵を罵り散らすよ....
能面と松園さんの絵」より 著者:金剛巌
鈍な者が努力で勝つ「鈍勝ち」である。この鈍勝ちは世の中の教訓として教えられ、又事実世間の事柄ではこの鈍勝ちである事を見受けるものであるが、然し芸能の世界ではこの....