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実利
「実利〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実利の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
何を見いだすことができるだろう。しかも明治維新とともに生まれた卑しむべき新文明の
実利主義は全国にわたって、この大いなる中世の城楼を、なんの容赦もなく破壊した。自....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
人らは科学に対して何らの正当な理解がなかった。――彼らの眼をつけたのはただ直接の
実利だけであった。ランゲ(F. A. Lange)はその著マテリアリズムの歴史中....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
ている。世は利己、俗悪の闇に迷っている。知識は心にやましいことをして得られ、仁は
実利のために行なわれている。東西両洋は、立ち騒ぐ海に投げ入れられた二|竜のごとく....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
あらずと信ずるときは、あえて権義道理の消長を問わざりき、この点においては浅近なる
実利的論派にして毫も抽象的原則または高尚の理想を有するあらず、要するにこの論派は....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
う。すでに十分の信用はある、十分の同情はある、さらに僕も語学や何かを教えるという
実利を加えれば、ほとんど申し分がない。少ししっかりした女中が居れば、足下にもさほ....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
被害者に返してやることができるなら人権侵害もあるだろうが、単に罪人をつくるだけで
実利は罪人に属すというのでは、悪人栄え、正直者は泣き寝入りの一途ではないか。法律....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
めるが、少数のミイラだけが諦めない。異様な願望だ。 織田信長のような、理智と、
実利と計算だけの合理主義者でも、安土に総見寺という日本一のお堂をたてて、自分を本....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
に、何かのタタリなぞは怖くもないし、とるにも足らぬ、という気質なのだ。生れつきの
実利主義者であった。彼は羽ぶりのよい官員や大臣や大将なぞは子供の時から眼中におか....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
彼の心ほ、すぐそのあとから、ひとりでにお内儀をとおして「実社会」の姿を見ていた。
実利のまえには、人間の誠実をむざんにふみにじって顧みない、その冷酷な姿を見ていた....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
のきく存在らしい。 大阪はコセコセしているというが、どうだろう。非常に積極的な
実利主義と同時に、長い物にはまかれろという諦めが表裏一体をなして、行動的であると....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
。やむを得ない詭弁であった。九条兼実という九条家始祖の関白は藤原氏歴代の中で特に
実利派の陰謀家であるが、しかし彼の日記「玉葉」なるものを三頁よむと、虚器を人格化....
「秀吉・家康二英雄の対南洋外交」より 著者:国枝史郎
しかし秀吉は、その後間もなく慶長三年に薨じたので、折角の対|呂宋強硬外交も、
実利的の実は結ばなかった。 しかし、その後に天下を治めた徳川家康の南洋政策に対....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、広々とした肥沃な土地であるのに」王室の手におちたのである。 彼女は、もっとも
実利的な形で、寛大を示したかったのである。ある年限を定めて、エセックスに、甘ブド....
「人間否定か社会肯定か」より 著者:小川未明
らぬ筈のものを、忘れてしまっているのではあるまいか。 自分達の生活――それは、
実利的な、独善的な――たゞ、それが支障なく送られゝばそれでいいという考えから、広....
「童話の詩的価値」より 著者:小川未明
ストはありません。誰でも一度は子供の時代があったのです。どんな心の醜悪な人間も、
実利主義者も、また悪人も、ロマンチシストであったのです。 この子供の心境を思想....