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実印
「実印〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実印の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ものでえすから、暑さ寒さの御見舞だけと申すのが、書けないものには、飛んだどうも、
実印《じついん》を捺《お》しますより、事も大層になります処《ところ》から、何とも....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
に困って来たと、蝶子にも分った。 父親が中風で寝付くとき忘れずに、銀行の通帳と
実印を蒲団《ふとん》の下に隠《かく》したので、柳吉も手のつけようがなかった。所詮....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
行られて来たじゃないか。刑事らしい奴が裏口の方にいる。仕方がない、俺は直ぐ行く。
実印を浅田に渡せ。いいか分ったか」 「あ、あなた、もう逃げるのは止して下さい」 ....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
を磨り流せば、手負なれども気丈の丈助、金十万円の借用証書を認めて、印紙を貼って、
実印を捺し、ほッ/\/\と息をつき、 丈「臨終の願いに清次殿、お媒人となって、お....
「家」より 著者:島崎藤村
いう話を避けようとした。その時、お種は達雄の行衛を尋ねた。 「途中で父親さんから
実印を送って寄しました。それが最後に来た手紙でした。多分……支那の方へでも行く積....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
筆跡もまさしく千々岩安彦、保証人の名前は顕然川島武男と署しありて、そのうえ歴々と
実印まで押してあらんとは。先方の口上によれば、契約期限すでに過ぎつるを、本人はさ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
直正銘の値だんをそのままに現して見せる所の二十円金貨の帯止めや、純金|平打ちや、
実印兼用の大形の指輪、ダイヤの巨大なる奴が二つもヘッドライトの如く輝いている指な....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
る。金はたった二分残っていたのだから、それらはさほど惜しくもないが、この懐中には
実印が入っていた。もしもそれを他人に使用されては如何なる迷惑が来るかも知れぬから....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
ま騙り取られるもののように、彼女は思ってるのであろうか。 「わたしはもう決して、
実印のはんこはおしませんよ。ほかに使うものも無くなったし、この家きりだから、
実印....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ちに圭子は、気がついた。銀行の使いは、今までずーっと新子の役であって、それに使う
実印だけは、母が判箱には入れてないで、どっか箪笥の抽斗の奥ふかくしまってあるとい....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
何に血迷ったのでしょうか。 千香子は幼少から店の手伝いをしていた関係上、主人の
実印を預っていました。当時大学生であった安雄は古参の店員たちや支配人に説かれて賛....
「フシギな女」より 著者:坂口安吾
して参ります、と引さがったそうだ。兇行の室内から三文判を探しだして満足したのか、
実印をさがしたが見つからなかったのか不明であるが、あれほど信用組合の時間を気にし....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ラマがやります。中等以上のラマですと、その方法書を自分の侍者に書かせてラマ自身に
実印を捺し、そしてその書面を尋ねに来た人に渡すです。
で今日医者を迎えれば助か....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
まま折目の破れた火災保険の仮証書と、何かの時に入用であった戸籍抄本に印鑑証明書と
実印とが這入っていたのを、巡査は一枚々々静にのべひろげ、それから
実印を取って篆刻....
「白っぽい洋服」より 著者:田中貢太郎
円もあればどうにか話がつくだろうと云った。借りた金は三百円であった。兄の名にして
実印ではないがその印も捺してあった。それに兄は先妻の子で務のためには異母兄である....