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実有
「実有〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実有の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
多い。そうして、喧《やかま》しい饒舌《じょうぜつ》や空《むな》しい多言は、幻影を
実有のごとくに語るのである。しかし、我々はかかる「出来合《できあい》」の類概念に....
「解かれた象」より 著者:寺田寅彦
ある。これは新聞で見た事であるから事実はどうだかわからない。しかしそういう事は事
実有りうべき事だろうと思われる。もし事実だとすると、これはどう解釈さるべきものだ....
「ジャーナリズム雑感」より 著者:寺田寅彦
晩よそへ遊びに行ってそこで合奏をやっていた事実に意義を認めるのであるが、それを事
実有りのまま書いたのでは、ジャーナリズムの鉄則に違反するものと見える。こういう事....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
この全肯定の気持ちは深い宗教的意識である。私はその無礙の自由の世界を私の胸の内に
実有することを最終の願望としているものである。しかしそれはけっしてアモーラルな心....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
な》等に於ける美術は、始めから全くかかる写実を無視し物それ自身が有する本質的なる
実有相を、直ちに全体の意味として捉《とら》えてしまう。故に例えば東洋の絵は、竹を....
「第四次元の男」より 著者:海野十三
話だの、たちまち長脇ざしを引っこぬいて十七人を叩き斬った話だのと、有りそうでその
実有りもしない話に、こりゃ本当らしい話だと、うつつをぬかすような手合に、これから....
「娯楽論」より 著者:戸坂潤
った文化形象の一切とから割合離れているからなのだ。娯楽を最も濫用しているものは事
実有閑層であるが、娯楽を本当に要求し、従って本当に娯楽というものの価値を理解出来....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
て、此の石井山三郎は、相州浦賀郡東浦賀の新井町に※船問屋で名主役を勤めた人で、事
実有りました人で、明和の頃名高い人で、此の人の身の上に能く似て居りますから、此の....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
信の徒である。われ等は止むことを得ず、時として何等かの奇蹟を以て、われ等の使命の
実有性を証明すべく試みるが、これも彼等に対して殆ど効果がない。彼等は言う、奇蹟の....
「省察」より 著者:デカルトルネ
き去られるであろう。中にも、例えば、いかにして、我々のうちにあるこの上なく完全な
実有の観念は、この上なく完全な原因によらなくては存し得ないほど大きな客観的実在性....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
ものでなく、一人の負傷者さえも出さなかったことは、全く神仏の加護によるものだと真
実有難く思い、それがこの原価販売となっただけのことであったが、震災を一転機として....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
会わねばならぬのかもしれません。エーステチッシュに信仰にはいったのでは力と熱とを
実有することはできず、スペクラチフな仕方では信ずる意志と感情とを動かすことはかた....