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実状
「実状〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実状の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片信」より 著者:有島武郎
なわち私生児の供給がやや邪魔になりかかりつつあるのを語っているのではないか。この
実状を眼前にしながら、クロポトキン、マルクス、レーニンらの思想が、第四階級の自覚....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
その生活と芸術との間に、正しい関係を持ちきたしたいと苦慮している、これが私の心の
実状である。こういう心事をもって、私はみずからを第一の種類の芸術家らしく装うこと....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
酷いと思うようになった。山の手は助ったことが判ったが、とにかく惨澹たる東京の被害
実状が次々に報ぜられた。復一は一応東京へ帰ろうかと問い合せた。 「ソレニハオヨバ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
な放言じゃ」と真斎は狂ったように、肱掛を叩き立てて、「貴方は夢を見ておる。まさに
実状を顛倒した話じゃ。あの時血は、博士が倒れている周囲にしか流れておらなかったの....
「四条畷の戦」より 著者:菊池寛
下ならば、諸国の地頭御家人は皆奴婢|雑人の如くにてあるべし」 と、その当時武士の
実状を述べて居る。 其の上、多くの武士には恩賞上の不満があった。彼等の忠勤は元....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
したり。しかれども吾輩はこの新論派が著明なる形体を備えたることを見ず、ただ当時の
実状を回想して暗々裏にその跡を認めたるに過ぎざるなり。いかなる人々がこの二学派の....
「時代色」より 著者:岡本かの子
に酔うて恍惚とした情熱にわれを忘れたい。大体こういう気風である。だが、世上一般の
実状はその反対を強ている。それだけ人々は却てそれを欲っするのかも知れない。 世....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
になったということが納得できないもので、アベコベに御立腹遊ばされておるというのが
実状だと私は見立てた次第です。御両人が内々好きあっており、共に入聟ということに御....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
法を発展させ、『英国における労働階級の境遇』において、自由競争下の労働者の悲惨な
実状を論じた。ラサールはマルクスと異なり、理念に導かれた人間の道徳的意志が歴史の....
「小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
のサナトリウムといえば、いかにも白樺にかこまれた高原の詩趣にみちているようだが、
実状は、高原のコヤシ臭い畑の中のもう廃屋に近いようなうそ寒いところであった。 ....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
現代の日本では、非常に乱れている。ほとんど共通の美意識がそれに対して働いていない
実状です。だからこそ、俳優は、その混乱無秩序と戦わなければ、現代の演劇のほんとう....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
しましても、私は私自らのものを捨てる気は少しもありません。 ただ天香師の生活の
実状を見る時に、私の生活よりもそこには光り輝いてるところの真理をみとめますから、....
「街を行くまゝに感ず」より 著者:小川未明
たる、真のプロレタリア作家の筆に俟たなければ、いまだ真の地の叫びをきくに至らない
実状にあります。都会の新興文学を思うにつけて、私達は、田園の新興文学を思わざるを得ない。....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
「おあん物語」という古書があります。家康の軍勢に大垣城が取囲まれ、落城する砌の
実状を、そのとき城中にあった、おあんという女の想い出話の記録であります。 落城....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
人の不法を訴えたのに対して、奈良坂非人がそのしかるべからざる所以を陳じたもので、
実状はいわゆる原被両造の申状を合わせみねばわからぬが、ともかく東大寺領の奈良坂非....