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実直
「実直〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実直の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
じの代から使っていた番頭が、若旦那に手紙を一本書いて頂きたいと云う。五十を越した
実直な男で、その時右の手の指を痛めて、筆を持つ事が出来なかったのである。「万事都....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
出納係に雇われたが、間もなく応召し、五年の後復員して来たが、その五年の歳月はこの
実直な青年の
実直さを、すこしも変えていなかった。ボソボソとした小さな声も、応召前....
「俘囚」より 著者:海野十三
暁がカーテンを通して入ってきた。 「じゃ、ちょっと行って来るからネ」 松永は、
実直な銀行員だった。永遠の幸福を思えば、彼を素直に勤め先へ離してやるより外はない....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
津の国屋へ奉公に来て、二十五年間も無事に勤め通して今年三十五になるが、まだ独身で
実直に帳場を預かっている。ほかには源蔵、長太郎、重四郎という若い者と、勇吉、巳之....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
肩が離れて、大な白足袋の色新しく、附木を売る女房のあわれな灯に近いたのは円髷で。
実直ものの丁寧に、屈み腰になって手を出したは、志を恵んだらしい。親子が揃って額ず....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
べさせるそうですが、何日位で消化しますか」 「そうですね」鴨田は揉み手をしながら
実直そうな顔を出した。「六貫位はある山羊を呑んだとしまして、先ず三日でしょうか」....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
うが、ひとつ眠り方を変えなければならないと思う。 ◯隣組の防火班長さん、なかなか
実直な人で、うちの小路までいつでも「警報解除」を告げにきてくれる。この人も、二度....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
くなって、電車がチンチン動きだすことであろう。するとその電車から、一人の詰襟姿の
実直な少年が下りてきて、歩調を整えて門のなかへ入ってくるだろう。そして玄関脇の押....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
にしろ、数の場合にしろ、旅籠でも料理屋でも、給仕についたものから、こんな素朴な、
実直な、しかも要するに猪突な質問を受けた事はかつてない。 ところで決して不味く....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ばそれこそあの婆さん、大変よ。」 リサは自分の言うことだけ言ってしまうともとの
実直な姿勢に直ってせっせとジャケツを直しにかゝった。 黙って河に向いて居た新吉....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
いほどであった。こんな不可解の責任のために、その生活をもくつがえすということは、
実直な人間にとって精神的苦痛に相違なかった。彼は黒い髪をうしろへ押しやって、極度....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
月対次は、恰度忙しい事務もひと息ついた形だったので、歳若いながらも仕事に掛けては
実直な秘書の秋田を同伴して、取るものも不取敢大急ぎで両国駅から銚子行の列車に乗り....
「墓」より 著者:秋田滋
ユは、そこで、やおら立ち上った。背丈のたかい、鳶色の頭髪をした好男子で、いかにも
実直そうな顔をしており、その顔立ちにはどことなく凛としたところがあって、何かこう....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
出して、アパートを出て行った。習慣というものは恐ろしいもので、雄太郎君の予想通り
実直な老配達夫は、もうポストの前へ屈みこんで取出口にガチャガチャと鍵をあてがって....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
」 そこで、私の麻の浴衣と脱ぎ換えさしてしまった。すると、背の低い小さい小さい
実直そうなお爺さんの頭にのっけた鼠の頭巾が目についた。 「お爺さん、その帽子はい....