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実顔
「実顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
ございません。顔は色の浅黒い、左の眼尻《めじり》に黒子《ほくろ》のある、小さい瓜
実顔《うりざねがお》でございます。
武弘は昨日《きのう》娘と一しょに、若狭へ立....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
好奇的の女になった。鏡子は忽ち規矩男の父の結婚談を承知した。父は鏡子の明治型の瓜
実顔の面だちから、これを日本娘の典型と歓び、母は父が初老に近い男でも、永らく外国....
「縮図」より 著者:徳田秋声
方だった。浜龍は東金の姉娘の養女で、東京の蠣殻町育ちだったが、ちょっと下脹れの瓜
実顔で、上脊もあり、きっそりした好い芸者だった。東金で仕込まれたが、柄がいいので....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
切にしていた銀が(銀は真白な猫である)今までは夏痩して細長くて、猫として禁物の瓜
実顔であったものが、たった十日あまりの不在の間にその重さを著しく加え、顔はまるま....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
いた、巻紙に筆を持添えて……」 「写実、写実。」 「目の凜とした、一の字眉の、瓜
実顔の、裳を引いたなり薄い片膝立てで黒縮緬の羽織を着ていた、芸妓島田の。」 「う....
「白痴」より 著者:坂口安吾
房はこれも然るべき家柄の然るべき娘のような品の良さで、眼の細々とうっとうしい、瓜
実顔の古風の人形か能面のような美しい顔立ちで、二人並べて眺めただけでは、美男美女....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
いふ通俗な型には今更驚きもしなかつたが、とるにも足らぬその他大勢の有象無象に「現
実顔」とでも言ふべきものを発見して、一方ならず讃嘆した。哲学者はさすがにエモーシ....
「心霊殺人事件」より 著者:坂口安吾
である。何より変ってるのは四人の兄妹の顔立が全然ちがっていることだ。姉の勝美は瓜
実顔の美人であるが、次女のミドリは丸顔の美人で、目にも鼻にも共通点がない。勝美は....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
之助は口の中で叫んだ。 娘太夫は源女のお組、それに相違ないからであった。 瓜
実顔、富士額、薄い受口、切長の眼、源女に相違ないのであった。ただ思いなしか一年前....
「地上」より 著者:島田清次郎
取りよけたり灰をならしたりしながら、ちょいちょいお光の方を盗み見ていた。米子は瓜
実顔の、鼻が少し透り過ぎてさきの方が垂れ下がっているようにさえ見えたが、一重瞼の....
「九代目団十郎の首」より 著者:高村光太郎
といって目立つ急な突起は無い。顴骨も出ていない。下顎にも癖がない。その幅のある瓜
実顔の両側に大きな耳朶が少し位置高く開いている。おだやかな眉弓の下にある両眼は、....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
ラテン民族の抜ける様な白い額から頬へかけうっすり素焼の赭土色を帯びた下ぶくれの瓜
実顔を持つ女なのだが彼女が斯うした無心の態度に入る時には、何とも形容し難い「物」....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
く、桃の枝を黒髪に、花菜を褄にして立った、世にも美しい娘を見た。 十六七の、瓜
実顔の色の白いのが、おさげとかいう、うしろへさげ髪にした濃い艶のある房りした、そ....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
名ざして来たとて妹の自分に任せようとする姉の陰性も嫌いだった。 姉は、薄皮の瓜
実顔に眉が濃く迫っている美人で、涙っぽい膨れ目は艶ではあるが、どんな笑い顔をも泣....
「澪標」より 著者:外村繁
うとはしない。漸く看護婦の方が視線を外す。 看護婦はかなり美人である。しかし瓜
実顔式の容貌は、何故か看護婦の制服と似合わない。その不調和感が却って妙に好色的な....