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「客座〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

客座の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人間失格」より 著者:太宰治
また裏がえしにして、その女のひとにすすめました。部屋には、堀木の座蒲団の他には、客座蒲団がたった一枚しか無かったのです。 女のひとは痩《や》せて、脊の高いひと....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
来た。彼女は茶の間の四畳半と工房が座敷の中に仕切って拵《こしら》えてある十二畳の客座敷との襖《ふすま》を開けると、そこの敷居の上に立った。片手を柱に凭《もた》せ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、家内の者は混雑にまぎれて知らなかった。暫くして家の奥から答える者があった。 「客座敷には人がいるから、はいることは出来ないぞ」 門外の者は答えた。 「それで....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
何とか云っけ、名は……」 若「春部さま」 清「うん春部梅か成程……梅さん、そこな客座敷は六畳しかないが、客のえらある時にゃア此処へも入れるだが常にア誰も来ねえか....
蒲団」より 著者:田山花袋
寓していた家は麹町の土手三番町、甲武の電車の通る土手際で、芳子の書斎はその家での客座敷、八畳の一間、前に往来の頻繁な道路があって、がやがやと往来の人やら子供やら....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
み、番頭に頼んで、二階下の建久館なるものを案内してもらったが、奥庭に面した普通の客座敷で、ただ戸棚や、天井板などに色の黒ッぽくくすんだ、時代の解らぬ古木が使って....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
うむ、そうだ、この一点へ、ひとつ心を集めて見よう」 森閑と更けた城内の夜、別館客座敷の真ん中に坐り葉之助はじっと考え込んだが、 「考えていても仕方がない。味方....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
の響に汀を打てば、多度山の霜の頂、月の御在所ヶ|嶽の影、鎌ヶ嶽、冠ヶ嶽も冠着て、客座に並ぶ気勢あり。 小夜更けぬ。町|凍てぬ。どことしもなく虚空に笛の聞えた時....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
」 と三八は帰ってしまう。これから温かい物でお飯を食べさせて、親子の者を丁寧に客座敷の方に寝かして、自分は六畳の茶の間の方に寝ました。夜が明けると、お美代が側....
鵞鳥」より 著者:幸田露伴
さふさとした頤鬚上髭頬髯を無遠慮に生やしているので、なかなか立派に見える中村が、客座にどっしりと構えて鷹揚にまださほどは居ぬ蚊を吾家から提げた大きな雅な団扇で緩....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、どうぞこちらへと、お待受けの別嬪が、お袖を取るばかりにして、御案内申します、お客座敷と申しますような、お褥を敷いて、花を活けました、古市があるではござりませぬ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
裁の著るしく変わっていることであった。従来の芝居番附は座頭とか中軸とか書出しとか客座とかいう位地が決まっていて、たとえば新富座では団十郎が座頭、菊五郎が中軸、左....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
を近づけた。就中、椿岳の恬淡洒落を愛して方外の友を以て遇していた。この大河内家の客座敷から横手に見える羽目板が目触りだというので、椿岳は工風をして廂を少し突出し....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
はかんかん陽があたって蝉の声の降るなかにいちはつがちらほら咲いていた。庭に面した客座敷から、狭い縁側へかけて土用の虫干しをするため、一ぱい書物が並べられてあった....
春心」より 著者:田中貢太郎
に酒や醤油の店を持っている広栄の家は、鮫洲の大尽として通っていた。 そこは表の客座敷の次の室で、定七の腰をかけている縁側の敷板は、木の質も判らないまでに古びて....