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「客殿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

客殿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
つぽつ万福寺の裏山を庭に取り入れ、そこに石を運んだり、躑躅を植えたりして、本堂や客殿からのながめをよくしたのもまた和尚だ。奥山の方から導いた清水がこの庭に落ちる....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
方に林を取り巡らし、濠に似せて溝を掘り、周囲を廻れば五町もあろうか、主屋、離室、客殿、亭、厩舎、納屋から小作小屋まで一切を入れれば十棟余り、実に堂々たる構造であ....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
りと坐っていた。冬の日は釣瓶おとしというより、梢の熟柿を礫に打って、もう暮れて、客殿の広い畳が皆暗い。 こんなにも、清らかなものかと思う、お米の頸を差覗くよう....
不動像の行方」より 著者:田中貢太郎
「ようこそお立寄りくださいました。さあ、どうぞ此方へ」 住職は小腰を屈めながら客殿の方へ隻手をさした。その眼には血みどろになった獣の屍が映っていた。 客殿は....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
き》を使っていたのを見かけました。 「これは、これは」 というわけで、招ぜられて客殿へ通ると、つい話が面白くなりました。 老師を相手の昔話や、今時の物語が面白....
源氏物語」より 著者:紫式部
咲いたのがあった。新築して外孫の内親王方の裳着《もぎ》に用いて、美しく装飾された客殿があった。派手《はで》な邸《やしき》で何事も皆近代好みであった。右大臣は源氏....
源氏物語」より 著者:紫式部
おいでになろうとして、車の仕度がなされ、前駆などが多く集まって来たりしたために、客殿を立って西の対の夫人の所へ薫はまわって行った。山荘の寂しい生活をしていた時に....
源氏物語」より 著者:紫式部
ったのかと言いたい」 などとお言いになり、宮は不機嫌になっておいでになったが、客殿のほうへ行って御面会になった。 「何かの機会のない限りはこの院へ上がることが....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
は眼を四方へ配った。 三卿の筆頭であるところの、田安中納言家のお屋敷であった。客殿、本殿、脇本殿、離亭、厩舎、望楼台、そういう建物が厳しく、あるいは高くあるい....
迷信解」より 著者:井上円了
れば、山々の天狗名乗りつつ退く。長老は無性になりぬ。そのとき、近所の者どもは寺の客殿の上に火の手上がりたるを見、火事ありと思いておびただしく馳せ集まれり。それよ....
五重塔」より 著者:幸田露伴
べきところあろうはずなく、五十畳敷|格天井の本堂、橋をあざむく長き廻廊、幾部かの客殿、大和尚が居室、茶室、学徒|所化の居るべきところ、庫裡、浴室、玄関まで、ある....
法然行伝」より 著者:中里介山
している。 法然が天王寺に詣でた時、明遍僧都がここへ訪ねて案内があった。法然は客殿に待っていて「さあこれへ」といわれる。明遍僧都はさし入ってまだ居直らない先き....
私本太平記」より 著者:吉川英治
先に帰館した高氏の命か、総門内では、衆臣が立ち迎える。ただちに、又太郎主従は客殿へ、また湯殿へ、そして、膳部まで出てしまった。夜はすでに晩かったし、疲れもあ....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
まっていたことは、囲炉裏の四方の名称を聞いてもわかる。是は一つには建築の進歩で、客殿と住居とを一つ棟の下に作ることのできた結果であり、また一つには足利時代の社会....
大岡越前」より 著者:吉川英治
御用向きか、もし執事の私でおさしつかえなくば、お取次ぎ仕りますが」 と、自身、客殿にみちびいた。 藪八は、采女を別室に待たせて、かなり長い間、執事と懇談して....