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「客足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

客足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
ただけで、それもほとんど替刃ばかり、売り上げは〆《し》めて二円にも足らなかった。客足がさっぱりつかず、ジレットの一つも出るのは良い方で、大抵は耳かきか替刃ばかり....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
くに駆け帰りました。 寒は寒でしたが、いいぐあいに小春日で、それがまたいっそう客足を呼んだものか、小田原町の通りまでいってみると、もう店先はいっぱいの黒山であ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ながらはいっていくと、物柔らかな声とともに赤前だれの娘に問いかけました。 「雨で客足がのうていけませぬな。あの笠は?」 「あれは、あの……」 「おうちのものか」....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
松吉も帰って来た。 その報告によると、浅草の観世物小屋では、当日お半の来る前は客足がしばらく途切れていた。お半の少しあとから若い男がはいった。それから男と女の....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
婆さんはいろんな話をした。この家の二、三年前までは繁盛したことや、近ごろは一向客足が遠いことや、土地の人々の薄情なことや、世間で自家の欠点を指摘しているのは知....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
音頭」の貢をするというので、なか/\評判は好かったのですが、時節柄ですから何うも客足が付きませんでした。藤崎さんは上野に立籠っていながら、その噂を聴いてかんがえ....
わが町」より 著者:織田作之助
をだしたので、客は落ち着いて、七味の調合にこのみの注文をつけることも出来ず、自然客足は遠ざかった。 招き猫の人形みたいに、ちょこんと台の上に坐って、背中を猫背....
寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
寺堤は団菊左の顔合わせで、開幕前の噂はなかなか高かったが、さて初日を出してみると客足が思わしからず、通し狂言の「安中草三」も在来の円朝物ほどに面白くないと云う不....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
だから、右往左往の業者ども、禁令をどこ吹く風、お店の有り酒を傾けてゐると、絶えて客足のなかつたタヌキ屋に六・一自粛の当日から俄に客の往来がはげしくなつたから、物....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
をかりたいが」 と一夜十円という相当な高給で花嵐をつれだした。日中でもあんまり客足のない小屋だから、夜の興行は休んで死んだようにヒッソリしている。一座の親方も....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ば、吉。そろっても、スペードからでは凶、揃わないときは大凶などと、独りでその日の客足を占ってみる習慣が、ついていた。 トランプは、幸先よく揃いそうであったが、....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
。橋が落ちて、渡船が出来てからは、なんだか、人別を見られるようで気が引けるって、客足は落ちるし、こんな雨の日なんかは、三伝さん御全盛の、あの頃を想い出すよ」 ....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
太夫座は直ぐ千秋楽になったにも拘らず、半左衛門座は尚打ち続けた。二月に入っても、客足は少しも落ちなかった。二月が終りになって、愈々弥生狂言の季節が、近づいて来た....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
さて開場してみると、明けても暮れても薄暗い陰気な場面ばかりだという不評で、一向に客足が付かなかった。わたしの見物した日も気の毒なような不入りで、ここには“多摩川....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
小鮎の並べてある笹籠を前に置いて、国太郎はまだ客を待っていた。実のところ今朝から客足が思わしく無く持荷の半分も捌ける見当がつかず、いたずらに納屋で飴色の腹に段々....