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客車
「客車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
客車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
十円札を保存しなければならぬ。この十円札を保存するためには、――保吉は薄暗い二等
客車の隅に発車の笛を待ちながら、今朝《けさ》よりも一層《いっそう》痛切に六十何銭....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
また勢いよく走り始めた。慎太郎はその時まざまざと、今朝《けさ》上《のぼ》りの三等
客車に腰を落着けた彼自身が、頭のどこかに映《うつ》るような気がした。それは隣に腰....
「或る女」より 著者:有島武郎
って来た。葉子はとうとう我《が》を折って最終列車で東京に帰る事にした。
一等の
客車には二人《ふたり》のほかに乗客はなかった。葉子はふとした出来心から古藤をおと....
「或る女」より 著者:有島武郎
場前の茶店の一間《ひとま》に隠れていて一等室に飛び乗った。だだっ広《ぴろ》いその
客車には外務省の夜会に行くらしい三人の外国人が銘々、デコルテーを着飾った婦人を介....
「星座」より 著者:有島武郎
いていた。
「危《あぶ》ないよ婆さん」
知らない学生が婆やを引きとめた。婆やは
客車の昇降口のすぐそばまで来てまごついていたのだ。そこから人見さんが急いで降りて....
「三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
なんしろ、あんたの毎日のお客様を、それとなく拝見しているに、どうも、時間といい、
客車といい、切符といい、荷札といい、どれもこれも三の字にひどく関係の深い御婦人達....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
っていた。 “――省線山手線内廻り線の池袋駅停り電車が、同駅ホーム停車中、四輌目
客車内に、人事不省《じんじふせい》の青年(男)と、その所持品らしき鞄(スーツケー....
「空襲警報」より 著者:海野十三
えしていた。呑気な将棋が、救いの神だったのだ。 野尻湖近くの田口駅をすぎた頃、
客車のしきりの扉が開いて、車掌がきんちょうした顔をして入ってきた。 「エエ、皆さ....
「香水紳士」より 著者:大阪圭吉
車の三等車の、片隅の座席に、クルミさんは固くなって座っているのだ。 日曜日で、
客車の中には、新緑の箱根や伊豆へ出掛けるらしい人びとが、大勢乗っている。 しか....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
或曇った冬の日暮である。私は横須賀発上り二等
客車の隅に腰を下して、ぼんやり発車の笛を待っていた。とうに電燈のついた
客車の中に....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
った。そうして、その翌朝の七時ごろに神戸駅から山陽線に乗換えた。例によって三等の
客車である。 わたしは少しく朝寝をしたので、発車まぎわに駈けつけて、転げるよう....
「暗号数字」より 著者:海野十三
「うん、東京駅だ。時間がないから、急いでくれ」 ロンドン塔 帆村は、二等
客車のなかに揺られながら東海道線を下りつつあった。 辛うじて彼は、午後六時きっ....
「西航日録」より 著者:井上円了
くのであった。) 七月一日、セントポール駅に宿して、 行尽湖西幾駅亭、法爾城畔
客車停、朝来暑気如三伏、雷声忽過天地青。 (湖の西に位置するいくつかの駅を行き尽....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
印度車行(印度車行) 沃野無。 (肥沃な平野は際限もなく広がり、夜を徹して鉄道の
客車にのる。三百里も遠いかなたから吹く風の中、車中の夢をむすぶ身をのせて伽耶に着....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
えて来るように思われる。 「うまく行った。が、危ぶないところだった。何しろ、――
客車全体にはッてやがるんだから――」 調子は荒っぽいが、声は細くて柔かい感じが....