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宮前
「宮前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
宮前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
せ》芝居の背景は、約十枚でこと足ります。野面《のづら》。塀外。海岸。川端。山中。
宮前。貧家。座敷。洋館なぞで、これがどの狂言にでも使われます。だから床の間の掛物....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ない短い月日の流れの、倉皇として過ぎ行くけはいを感じるのであった。 トロカデロ
宮前を通り過ぎると、小さいキャフェには昔風に床へ鋸屑を厚く撒いているのが匂った。....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
百余騎である。「両人とも早いぞ早いぞ」と声をかけて置いて、ひた走りに馳けて熱田の
宮前に着いた時は、その数千八百となって居た。熱田の町口には加藤|図書助順盛が迎え....
「うつり香」より 著者:近松秋江
そういって、私は勝手にずんずん人形町通りの片側を歩いていった。 そうして水天
宮前の大きな四つ辻を鎧橋の方に向いて曲ると、いくらか人脚が薄くなったので、頬を抑....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
帰ったことを知らなかったのである。大にドキマギした容子であったが、調子を更えて「
宮前のお広さん処へは如何参るのです?」と胡魔化した。
宮前のお広さん処は、始終諸君....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、呉本という監官があった。彼は武人の勇気にまかせて、何事をも畏れ憚らず、夏の日に
宮前の廊下に涼んでいて、申の刻(午後三時―五時)を過ぐるに至った。まだ暗くはなら....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
をして歩きやがるんだ?」 相手は闇の中から若い声を鋭く投げつけた。 「誰だね?
宮前屋敷の者かね? 夜路はお互に気をつけるごったな。俺は栗原権四郎だが、おめえ、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
十三 兵馬はそこを引返して、車返《くるまがえし》から甲州街道筋へ出て、再び
宮前まで来た時、おそろしく急ぎの乗物が一挺、西の方から飛んで来るのにでっくわせま....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
いて響くのが一粒ずつ、掌に玉を拾うそうに思われましたよ。 あとへ引返して、すぐ
宮前の通から、小橋を一つ、そこも水が走っている、門ばかり、家は形もない――潜門を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に、不幸にしてそのたずぬる物語のある頼朝公の尼寺というのを探し当てる以前に、例の
宮前の黒船騒ぎの波動が、お銀様をして前方へ進むことを阻《はば》みましたから、そこ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のまた拡大した影に、自分から酵母を加えて驚きたがる癖が出来たようです。 熱田の
宮前では、今や家財道具のおもなるものを持ち出すの騒ぎになっている。仏壇を背負い、....
「震災日記より」より 著者:寺田寅彦
のために折れ落ちたのかそれとも今朝の暴風雨で折れたのか分らない。T君に別れて東照
宮前の方へ歩いて来ると異様な黴臭い匂が鼻を突いた。空を仰ぐと下谷の方面からひどい....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
した。が、何か心臓をしめられる感じは去らなかった。 緑いろのタクシイはやっと神
宮前へ走りかかった。そこには或精神病院へ曲る横町が一つある筈だった。しかしそれも....
「高千穂に思う」より 著者:豊島与志雄
高千穂峰はよい山である。 霧島神宮駅から、バスで約二十分、霧島神
宮前に達する。数軒の簡易な旅館がある。その一軒の店先で、六月上旬の梅雨のはれまの....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
である。 さて、お肴には何がある、錦手の鉢と、塗物の食籠に、綺麗に飾って、水天
宮前の小饅頭と、蠣殻町の煎豌豆、先生を困らせると昼間いったその日の土産はこれで。....