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害心
「害心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
害心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「畜犬談」より 著者:太宰治
一策である。私は、とにかく、犬に出逢うと、満面に微笑を湛《たた》えて、いささかも
害心のないことを示すことにした。夜は、その微笑が見えないかもしれないから、無邪気....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
糸は、戸口に立ち竦《すく》みて、わなわなと顫《ふる》いぬ。 渠はもとより一点の
害心だにあらざりしなり。われはそもそもいかにしてかかる不敵の振舞《ふるまい》をな....
「俘囚」より 著者:海野十三
。不意を喰らって、 「なッ何をする、魚子《うおこ》!」 と、夫は始めてあたしの
害心《がいしん》に気がついた。しかし、そういう叫び声の終るか終らないうちに、彼の....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
がほの白く光っているのを見た。が、彼にはそれを防ごうという気もなかった。向うから
害心を挟んできたのを機会に、相手を討ち取ろうという心も、起らなかった。ただ、自分....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
きりに目をくばり、このロケットの構築ぶりをほめるのであった。それは、かりそめにも
害心のある人物に見えなかった。 しかし帆村はもちろん、ロバート大佐もポオ助教授....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
めに、獣達が親しみを見せるのか、解することが出来なかった。しかしそれらの獣達に、
害心のないことは見て取られた。彼は憤然と飛び上がった。瞬間に彼は自分自身に、神力....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
山深く入っていたのに、呼懸けたのは女であった。けれども、高坂は一見して、直に何ら
害心のない者であることを認め得た。 女は片手拝みに、白い指尖を唇にあてて、俯向....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いじゃないか。人間はどうも物を怖がり過ぎていけない。獣や、虫なんぞでも、こちらが
害心さえ無ければ、向うも大抵お友達気取りで来るものを、人間が彼等を怖れ過ぎるから....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
して不思議なりとしたことがあります。 和尚にいわせると不思議でもなんでもなく、
害心のないところに、敵意の生じようはずはないのだと説明する。 しかし、すべての....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
恐怖の念を抱いたようではありました。 さりながら、この二人連れの者にいささかも
害心がなく、やはり駒同様の、はずみきった若い人間種族が、我々と遊びたいがために、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
して、孤立した小屋や板囲いの建築足場などが立ってる荒れ地を横ぎっていった。彼は殺
害心を起こしていた。かかる侮辱を自分に加えた男を殺したかった……。がしかし、その....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ンスの偉大をきたさしめた、アンリ四世の軍隊中にもルイ十四世の閣員中にも、虚栄と利
害心と下等な快楽主義との人物と同じくらいに、理性と信念との人物がいたのである。ジ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
ゃ、猿ではないが――」
「忍びよる気配には殺気がござりました」
「感じたか」
「
害心無きものの近づく音とはちがっておりました」
「のう、妹御」
と、義観は、綱....
「罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
恐々紙幣を受取って、馴れた手つきで数えた。そうして、友木が全く金を返えして、別に
害心のない様子を見て取ると、今までの悄気た様子はどこへやら、急に顔を輝やかして、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
り一人|跟け来る男あり。忘れもせぬ其奴こそ、得三に使わるる八蔵という悪僕なれば、
害心もあらんかと、用心に用心して、この病院の裏手まで来りしに、思えば運の尽なりけ....