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宵の口
「宵の口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
宵の口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
声は止んだ。水量が盛んで人間の騒ぎも壓せられてるものか、割合に世間は静かだ。まだ
宵の口と思うのに、水の音と牛の鳴く声の外には、あまり人の騒ぎも聞えない。寥々とし....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
でも、今頃は内には居ない。ちっと日比谷へでも出かけるが可い。」 「憚様、お座敷は
宵の口だけですよ。」 と姿見の前から座蒲団をするりと引いて、床の間の横へ直した....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
かり慰みに植えた青田があって、向う正面の畦中に、琴弾松というのがある。一昨日の晩
宵の口に、その松のうらおもてに、ちらちら灯が見えたのを、海浜の別荘で花火を焚くの....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
ち合わせて、なにかをしきりに払っていた。 その夜のカフェ・ゴールデン・バットは
宵の口だというのに、もう大入満員だった。私達はやっと片隅に小さい卓子を見付けるこ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
八 差配は溜息と共に気取って頷き、 「いつ、どこでと云ってね、お前、縁日の
宵の口や、顔見世の夜明から、見えなくなったというのじゃない。その娘はね、長い間煩....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
汽船に乗って、直江津に着きました晩、小宮山は夷屋と云う本町の旅籠屋に泊りました、
宵の口は何事も無かったのでありまするが、真夜中にふと同じ衾にお雪の寝ているのを、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
更けて門涼の団扇が招くと、黒板塀の陰から頬被のぬっと出ようという凄い寸法の処柄、
宵の口はかえって寂寞している。――一軒の格子戸を背後へ退った。 これは雀部多磨....
「京のその頃」より 著者:上村松園
だった。 四条通りから堺町に越した頃、私はもう絵を習いかけていたが、その頃よく
宵の口に、時をきめてかどを地唄を流して来る六十余りのお爺さんがあった。それが大変....
「四条通附近」より 著者:上村松園
」のお母さんは三味線が上手で、よくお母さんの糸で「やあさん」が舞うていたが、夏の
宵の口など、店先から奥が透けて見える頃になると、通りに人が立って、奥の稽古を見物....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
とんど同じ顔の芸妓舞子が、寝る、起きる、飲む、唄う。十一時ごろに芝居のはねるのを
宵の口にして、あけ方の三時四時まで続くんでしょう。雑魚寝の女護の島で、宿酔の海豹....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
人形町|通のとある裏町。端から端へ吹通す風は、目に見えぬ秋の音信である。 まだ
宵の口だけれども、何となく人足|稀に、一葉二葉ともすれば早や散りそうな、柳屋の軒....
「寛政時代の娘納涼風俗」より 著者:上村松園
あして俯向きがちの所を描きましたが、余り夜深になりますと反って凄うなりますから、
宵の口で月蝕というものを題にして夏の夕方の納涼気分を現わしただけに過ぎません。 ....
「六日月」より 著者:岩本素白
気な中に艶のある、薗八でも弾いてもらいたいところである。こんなことを考えて、まだ
宵の口なのを人通りの少い町を歩きながら、薗八の「鳥辺山」、その場所も此処からはさ....
「和製椿姫」より 著者:大倉燁子
耶子さんの失踪は今朝発見されたんですね。お客様でごたごたしていらしったとすると、
宵の口やら、夜中やら、失踪された時間ははっきりしないわけでしょう?」 「そう、し....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
ので、とにかく行ってみようと思い、ハーフ・コートを引掛けて家を出ました。 まだ
宵の口だというのに、住宅地附近はひっそりとして淋しゅうございました。大きな屋敷ば....