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宵闇
「宵闇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
宵闇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
しょうか?
わたしはこの策を思いついた後、内裏《だいり》へ盗みにはいりました。
宵闇《よいやみ》の夜《よ》の浅い内ですから、御簾《みす》越しに火影《ほかげ》がち....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ました。その拍子に障子の外の竪川へ、誰とも知れず身を投げた、けたたましい水音が、
宵闇を破って聞えたそうです。これに荒胆《あらぎも》を挫がれた新蔵は、もう五分とそ....
「富士」より 著者:岡本かの子
の燻《くすぶ》り出るのが見えるようでもある。 薄れ明るむ雲の垂れ幕とたそがれる
宵闇の力とあらがう気象の摩擦から福慈岳の巨体は、巨体さながらに雲の帳の表にうっす....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
速舎監に話をして即日帰省した。何事が起ったかと胸に動悸をはずませて帰って見ると、
宵闇《よいやみ》の家の有様は意外に静かだ。台所で家中夕飯時であったが、ただそこに....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
さんの日だ。」と、呟いて仰向けに寝た――妙子の日とは――日曜を意味したのである。
宵闇 四十 同、日曜の夜の事で。 日が暮れると、早瀬は玄関へ出....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
らは、薪を割る安吉老人の斧の音が、いつもながら冴え冴えと響きはじめ、やがて静かな
宵闇が、あたりの木陰にひたひたと這い寄って来る。浴室の煙突からは、白い煙が立上り....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
泳場の下へ入って行った。そこでしばらくごそごそしている様子だった。 「いい具合に
宵闇だ。数珠子釣りに行って来るかな」 そういって、道具を乗せて田舟を漕ぎ出して....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
岸へあがって五、六|間ゆき過ぎてから振り返ると、低い貸船屋も大きい栗の木もみな
宵闇のなかに沈んで、河の上がただうす白く見えるばかりでした。どこかで笛の声が遠く....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
)今夜はどういたしました事でございますか、私の形……あの、影法師が、この、野中の
宵闇に判然と見えますのでございます。それさえ気味が悪うございますのに、気をつけて....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ツラと流れて行く。 九 「……太夫様……太夫様。」 偶と紫玉は、
宵闇の森の下道で真暗な大樹巨木の梢を仰いだ。……思い掛けず空から呼掛けたように聞....
「栗の花」より 著者:岡本綺堂
ました。岸へあがって五六間ゆき過ぎてから振返ると、低い貸船屋も大きい栗の木もみな
宵闇のなかに沈んで、河の上が唯うす白く見えるばかりでした。どこかで笛の声が遠くき....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
たのは石や灰が降り出したからであった。初めのうちは白灰であった。昼でも濛々として
宵闇の膜の中に在るようだった。灰が薄れると太陽が銅色や卵黄色に見えた。その次に石....
「六日月」より 著者:岩本素白
の月が、眉をあげた空の辺りに細く冴えた光を懸けて居るのを美しいと思った。あたりは
宵闇でもなく、月夜でもないほの明るさである。一寸曲って更にまっすぐの道が高台寺下....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
っている私には、何を云ったって聞えもしないし、分りっこもありません。 あの晩は
宵闇で暗うございました。私は山路でピストルをあの人の胸に突きつけて云いましたの。....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
かったのであろう。なんでも総武鉄道の工事中にそこへかよっていた線路工夫の一人は、
宵闇の中に幽霊を見、気絶してしまったとかいうことだった。 本所会館は震災前の安....