家並[語句情報] » 家並

「家並〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

家並の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
こんなわがままな人の所に来てやるものか」そう思いながら、生垣《いけがき》の多い、家並《やな》みのまばらな、轍《わだち》の跡のめいりこんだ小石川《こいしかわ》の往....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
向側《むこうがわ》まではっきりと照らされていた。片側町ではあるけれども、とにかく家並があるだけに、強《しい》て方向《むき》を変えさせられた風の脚が意趣に砂を捲《....
星座」より 著者:有島武郎
心持ち動くだけだった。店々にはすでに黄色く灯がともっていた。灯がともったその低い家並で挾まれた町筋を、仕事をなし終えたと思しい人々がかなり繁《しげ》く往来してい....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
南へ南へと道を取って行くと、節婦橋という小さな木橋があって、そこから先にはもう家並みは続いていない。溝泥をこね返したような雪道はだんだんきれいになって行って、....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
引けが過ぎる頃、伸上って蔀を下ろしたり、仲の町の前後を見て戸を閉めたり、揃って、家並は残らず音も無いこの夜更の空を、地に引く腰張の暗い板となった。 時々、海老....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
成東の停車場をおりて、町形をした家並みを出ると、なつかしい故郷の村が目の前に見える。十町ばかり一目に見渡す青田の....
深夜の市長」より 著者:海野十三
ッと溜息をついたのだった。 時刻はもう十二時をかなり廻っている筈だった。通りの家並はすっかり寝静まって、軒から氷柱が下りそうに静かであった。僕はオーヴァのポケ....
ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
彼は怪音の出所を、ネオン横丁と断定した。それでその横丁にとびこむと、向うの端まで家並を、ザッと一と通り睨みながら、通りぬけたが、入口の扉や、窓などが開いている家....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
である。そのあたりへ行って、初めて家が焼けないで残っている。その古いごたごたした家並を見ると、なんだか変な気持になった。残ってよかったと思うよりもこれも一緒に焼....
海底都市」より 著者:海野十三
よって、影のない快い照明が行われていた。さっきの辻のところまでは、にぎやかな街の家並が見え、買物や散歩の人々の群をながめることが出来たものだが、今はそういうもの....
くろがね天狗」より 著者:海野十三
五倍もの快速で逸走したのであった。見る見るうちに、半之丞を背負った機械人間の姿は家並の陰に消えてしまった。そして後に、お妙の激しい動悸だけが残った。 それっき....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
並んで見通された。 ……と見て通ると、すぐもう広い原で、屋敷町の屋敷を離れた、家並になる。まだ、ほんの新開地で。 そこいらに、小川という写真屋の西洋館が一つ....
靄の彼方」より 著者:上村松園
現代は現代で、やはりいい処はいいと見ていますし、随分美しいものは美しいという、作家並な感受は致しているものです。この気持ちを生かした、モダンな現代風俗を描いてみ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
降ですから、御坊の頭陀袋に、今朝は、赤神の形像の顕れていなかった事は、無論です。家並を二町ほど離れて来ると、前に十一二間幅の川が、一天地押包んだ巌山の懐から海へ....
」より 著者:岩本素白
越生と書いておごせと見える。町へはいって板葺の低い家並みの後ろに、裸木の雑木山が、風の無いぽか/\日に照らされて居るのを見ると、如....