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「宿命論〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

宿命論の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
があるかも知れえせんね」 「そんなことがあるかも知れない」 外記は綾衣のような宿命論をもってはいなかった。占い者を信ずることも出来なかった。彼はただ、燃えるよ....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
するような顫《ふる》えを覚えるのでございます。ねえ貴方、それを露西亜《ロシア》的宿命論というそうではございませんか。帝政露西亜の兵士達は、疲れ切ってしまうと、最....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
取り返しをつけようと意思を働かせない人は、教育の力では翻《ひるが》えす事の出来ぬ宿命論者である。 「まあ行きたまえ」とまた甲野さんが云う。催促されるような気持が....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
逸楽である。インドの心霊性を無知といい、シナの謹直を愚鈍といい、日本の愛国心をば宿命論の結果といってあざけられていた。はなはだしきは、われわれは神経組織が無感覚....
道徳の観念」より 著者:戸坂潤
って之は実は人間のものではなくて神にぞくする。その意味では吾々は道徳的に決定論・宿命論のものだ、意志の自由は本当ではない。だが事実、神が与えた意志自由によって人....
科学論」より 著者:戸坂潤
よる夫は、偶然性乃至可能性の絶対的な排除を意味する。そうした機械的な決定論或いは宿命論のための用語となる。之に反して弁証法的論理による因果必然性とは、寧ろこうし....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
にしても悲劇を組み立てている骨格は歴史、歴史的必然性、でなければならない。それが宿命論的なものであろうと自由意志論的なものであろうと、それとも又自然因果的なもの....
狼疾記」より 著者:中島敦
て安心している訳に行かない。むしろ、君は彼らの棲家にいるようなものだ。」ほとんど宿命論的な恐怖に俺は追込まれている。熱病患者を襲う夢魔のようなものが、この窖に棲....
青玉の十字架」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
りけのないものなのだ。彼は『思考する機械』ではなかった。なぜなら、その言葉は近代宿命論の、また唯物論の無思慮な適用であるからだ。機械はどこまで行っても機械にちが....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
「そう仰有っていただきますと、恐縮いたすばかりです。先日も申上げました通り、私は宿命論者でありまして、この仕事は私ひとり、相棒がおりません。多勢に無勢ということ....
純粋経済学要論」より 著者:手塚寿郎
issez passer)によって動かされた。プルードンは自由主義派の経済学者に宿命論者という形容詞を冠せたが、これはセイのためであった。この派の学者がいかなる....
夜の構図」より 著者:織田作之助
の勘に信吉はしかし自信があるわけではなかった。運に任せているのだ。そういう意味で宿命論者だ。人生は信吉にとっては偶然の堆積だ。この偶然を作り出す運を、信吉は信じ....
死の接吻」より 著者:小酒井不木
の中に居たたまらぬという理由もその一つであったが、主なる理由は近代人の絶望的な、宿命論的な心の発現であった。恐怖をにくみながら、恐怖に近づかずに居られないという....
飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
饉襲来に依って、完全に自暴自棄の絶望状態に陥し込まれてしまったのである。彼等は、宿命論者となって、大自然の無情を儚むと同時に、一方では、被圧迫者の立場から、現在....
日本の民衆と「日本的なるもの」」より 著者:戸坂潤
に小市民的な自我を小市民的自我によってしか問題になし得ないというような、機械的な宿命論の仮説も不用になる。自我は自我をつき放し、自我を超克するという、誰しもやっ....