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「宿酔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

宿酔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、老婆の挨拶には頓着なく、大股に洞外へ歩を運んだ。 微風は彼の頭から、すぐさま宿酔《しゅくすい》を吹き払った。彼は両腕を胸に組んで、谷川の向うに戦《そよ》いで....
或る女」より 著者:有島武郎
、そこらに散らばっている手紙の差し出し人の名前に鋭い観察を与えるのだった。倉地は宿酔《しゅくすい》を不快がって頭をたたきながら寝床から半身を起こすと、 「なんで....
檸檬」より 著者:梶井基次郎
》えつけていた。焦躁《しょうそう》と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔《ふつかよい》があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
で」白首のことを話した漁夫が急に怒ったように云った。 そこから少し離れた棚に、宿酔の青ぶくれにムクンだ顔をした、頭の前だけを長くした若い漁夫が、 「俺アもう今....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
かった。咽喉が乾いた。 何んだか少し世界の角度が狂ったような訝かしさを、二人は宿酔の頭に感じなければならなかった。 周囲の記憶が、少しもなかった。――無理も....
白痴」より 著者:坂口安吾
ぎているのであったが、それは言葉の上だけの存在であり、有金をはたいて女を口説いて宿酔の苦痛が人間の悩みだと云うような馬鹿馬鹿しいものなのだった。ああ日の丸の感激....
わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
けは社の風紀に関するといつて入れてくれないから仕方がない。尤も私は時々この会社へ宿酔をさましに遊びに行つて社長の空椅子にふんぞりかへつて昼寝するものだから、支店....
母の上京」より 著者:坂口安吾
虫が困りきつた顔をそむけて、もう十年若ければねえ……ふと呟いたものである。夏川が宿酔の頭に先づ歴々と思ひだしたのがその呟きで、もう十年若ければねえ……アヽ、もう....
反スタイルの記」より 著者:坂口安吾
かせてくれたのである。そのときは二日酔いの薬というY君式の伝授で、社の猛者連中が宿酔に用いて霊顕あらたか、という効能がついていた。けれども、当時はそろ/\酒も姿....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
だなア。記代子がちょッとそうですが、これがこの商売のコツですなア」 エンゼルは宿酔で頭が重くて、やりきれない。宿酔というものは、宿酔の相手をめぐって不快に思い....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
等別嬪とある通り、いかにも仇ッぽいよい女、見るからに浮気そうな肉づきのよい女だ。宿酔のところへ、精神的な打撃をうけて、いかにも顔の色がわるそうだが、それを厚化粧....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
「ウム。そうか」 由也はうなだれて何か考えこむ様子。その顔色の蒼いのは深酒の宿酔のせいか。まるで彼自身がこわしたようにジッと考えこんでいたが、 「三枝があや....
人生三つの愉しみ」より 著者:坂口安吾
酒をのんだ時の状態なのである。 私がこうなる時は、空腹でない時にのむ場合とか、宿酔のあととか、であるが、然し、季節的に考えて、鼻汁のでるころ、つまり冬、それが....
濁酒を恋う」より 著者:佐藤垢石
ぞ(下略)。 蜀山人の就牘には、 当地は池田伊丹近くて、酒の性猛烈に候。乍去宿酔なし、地酒は調合ものにてあしく候。此間江戸より酒一樽船廻しにて富士を二度見候....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
はねるのを宵の口にして、あけ方の三時四時まで続くんでしょう。雑魚寝の女護の島で、宿酔の海豹が恍惚と薄目を開けると、友染を着た鴎のような舞子が二三羽ひらひらと舞込....