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寂滅
「寂滅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寂滅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
蔵していない。いわばこの桶の中の空《そら》のように、静かながら慕わしい、安らかな
寂滅《じゃくめつ》の意識であった。一切の塵労《じんろう》を脱して、その「死」の中....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て、ちと古風な事だけれど、恐れながらと、遣ろうと云うのだ。それで大概、貴下の家は
寂滅でしょうぜ。」 英臣は辛うじて罵り得た。 「騙じゃのう、」 「騙ですとも。....
「振動魔」より 著者:海野十三
迎えたばかりの呉子さんが、早や墨染の未亡人という形式に葬られて、来る日来る夜を、
寂滅と長恨とに、止め度もない泪を絞らねばならなかったことだった。 身寄りのすく....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
げました」 「おやおやこいつは困ったね。ところで私も存じません」 これで謎々も
寂滅となり、二人は黙って歩いて行った。 まことに暢気な旅であった。 今日もお....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
です。あの「いろはでいえば、「あさきゆめみじ、ゑひもせず」という最後の一句は、「
寂滅為楽」という「涅槃の世界」をいったものです。「あさきゆめみじ」とは、あさはか....
「早すぎる埋葬」より 著者:佐々木直次郎
で、真っ黒で、ひっそりしていて、虚無が宇宙全体を占める。もうこれ以上のまったくの
寂滅はありえない。しかし、このような急な病気から目覚めるのは、発作がとつぜんであ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
たために、むしろその方が興味があったかも知れないと、そぞろに心の迷った端を、隠身
寂滅、地獄が消えた牛妖に、少なからず驚かされた。 正体が知れてからも、出遊の地....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
もって前者の運命のはなはだ遠からざるを卜せんと欲す。社会革命党万歳! 資本家制度
寂滅! * 同志諸君・明治三十九年六月二十二日 昨夕六時頃、身受けのし....
「人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
とこの一文がうそになる。どうみてもあれは颯爽というがらではない。鐘であつたら正に
寂滅為楽と響きそうなかつこうで立つていた。 それからトラックやら自動車やらに分....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
より漱石の方がえらい気持に候。この分にては神様を凌ぐ事は容易に候。人間もそのうち
寂滅と御出になるべく、それまでに色々なものを書いて死に度と存候。以上。 一....
「山吹」より 著者:泉鏡花
が、今日の飲代にさえありつけば、この上の欲はねえ。――罷り違ったにした処で、往生
寂滅をするばかり。(ぐったりと叩頭して、頭の上へ硝子杯を突出す)――お旦那、もう....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
と尻上りに畳みかけて、足を上下へばたばたと遣ったが、 「あ、」というとたちまち
寂滅。 むっくり飛上ったかと半身を起して捻向く気勢。女房も、思案に落した煙管を....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
品ある大部のもので、彼の心を惹いたところは一つも無い。強いて求めれば唯有一乗諸法
寂滅相という言葉だけであった。これが仏教であるのか。どこに仏教の魅力があるのか。....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
然を恋い慕うたのは、この永遠の眠りのためではなかった。彼は安息をこそ要求したが、
寂滅を要求したのではない。彼は醒ることを要求したのだ。人間の生活があまりに、一律....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
もやがてはこの風によって凋落する、芭蕉の梢に秋声を起こすのもこの風、すべて人生に
寂滅の第一義を暗示するものはこの秋風である。人はこの秋の哀れに心を痛ませるが、し....