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寄る
「寄る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寄るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
た後《のち》、たとい危《あぶな》い芸当にしても、とにかくもう一度茶室の外へ、忍び
寄る事に決心しました。
それから一時《いっとき》ばかりたった頃《ころ》です。あ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
へいだゆう》と云う老爺《おやじ》も居りますから、摩利信乃法師が西洞院の御屋形に立
寄るのは、迂闊《うかつ》に邪魔も出来ません。が、四条河原の蓆張《むしろば》りの小....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ックはこういう光景を見ると、しばらく戸口にたたずんでいました。が、僕らの前へ歩み
寄ると、怒鳴《どな》りつけるようにマッグに話しかけました。
「それはトックの遺言....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
らす》の声が、寂しく空に響くようになった。喜三郎は気を揉《も》んで、甚太夫の側へ
寄ると、「一そ恩地の屋敷の外へ参って居りましょうか。」と囁いた。が、甚太夫は頭《....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ると、約束の三時までにはかれこれ三十分足らずも時間があった。彼はちょいと事務所へ
寄る事にして、両手を外套《がいとう》の隠しへ突っこみながら、法文科大学の古い赤煉....
「竜」より 著者:芥川竜之介
るぶる胴震《どうぶる》いをしながら、川魚の荷をそこへ置くなり、ぬき足にそっと忍び
寄ると、采女柳につかまって、透《す》かすように、池を窺いました。するとそのほの明....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
電燈は、気のせいか、ここよりも明くない。が、あの特色のある眼もとや口もとは、側へ
寄るまでもなくよく見えた。そうしてそれはどうしても、子供の時から見慣れている西郷....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
根がたに腰を下して、また素戔嗚に預けられた勾玉を掌へ載せて見ながら、あの娘に云い
寄るべき手段をいろいろ考えていた。するとそこへもう一人の若者が、斑竹《はんちく》....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
の圏外に逃れることは出来ない。のみならず同心円をめぐるようにじりじり死の前へ歩み
寄るのである。
「いろは」短歌
我我の生活に欠くべからざる思想は或は....
「或る女」より 著者:有島武郎
《へや》にはいって来た。形式一ぺんのお辞儀を睡《ねむ》そうにして、寝台のそばに近
寄ると、無頓着《むとんじゃく》なふうに葉子が入れておいた検温器を出して灯《ひ》に....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
の嚊《かかあ》は子種をよそから貰《もら》ってでもいるんだろうと農場の若い者などが
寄ると戯談《じょうだん》を言い合った。女房と言うのは体のがっしりした酒喰《さけぐ....
「星座」より 著者:有島武郎
たらしいのに、それだからたまには不愉快なほど人擦れがしているくせに、どこかさぐり
寄るような人なつっこいところも持っている。こういう女に限って若い男が近づくと、ど....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
る青銅の箱から取出して、クララの頸に巻こうとした。上品で端麗な若い青年の肉体が近
寄るに従って、クララは甘い苦痛を胸に感じた。青年が近
寄るなと思うとクララはもう上....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
運動をしていることを認めた。そうしてこの現象の説明として、物体の視角がその物に近
寄る人にはだんだん大きくなり、遠ざかる人には小さくなるという事実を引用した。ここ....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
森の中の木という木はみななびき伏しました。その中で一本のわかい松も幹をたわめて、
寄るべないこのおかあさんの耳に木のこずえが何かささやきました。しかしておかあさん....