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密やか
「密やか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
密やかの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蝱の囁き」より 著者:蘭郁二郎
月の吐息か 仄かな調は 闇をば流れ来て 侘しいこの身の 悶ゆる心に 響け 調よ。
密やかに慕寄る 慰めの唄 されど尚人知れず 泪さそう詩よ 唄いながら、彼女の眼....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
に色づけて、その裏面にはフランネルのような白い毛が、おもての緑と対照するために、
密やかに布いている、恰度一枚の葉で、おもては深淵の空を映し、裏は万年雪を象ったよ....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
が話した「若僧震え上って了った」とか「今夜は久し振りに飲める」とか言う二人の間の
密やかな会話を覚えているだろう? あの会話は、あの晩二人の間に「若僧」と呼ばれた....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
り、暫して鳴り止みますと、後は森然としています。……丁度、今夜のようにものごとが
密やかに見られる晩でござりました、(間、四方を眺め)丁度、今夜のような。(海の遠....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ない。 はてな、やっぱり誰もいないのかしら? ……と思っていると、家の中でごく
密やかに袋戸棚でも開けたような辷り音がした。そして柔らかい絹ずれが窓の近くへ寄っ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
いのは、安治川を出ますまでの間で……」 あたりをしのぶ新吉の声。 その合間に
密やかなのはお綱と弦之丞の言葉らしい。 「じゃ、私に方寸もございますから、お家様....
「柳生月影抄」より 著者:吉川英治
かったのである。 用人の笹尾喜内老人が、やがて但馬守の室へ這入って、しばらく、
密やかに話しこんでいた。喜内の嗚咽が洩れた。老人は涙の顔を、懐紙につつんで退がっ....