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「密雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

密雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ず最初の謎を知ったわけだ。 なるほど、モンスーンの影響をうける季節のこの連嶺の密雲はすさまじい。しかし、その季節以外は時偶《ときたま》霽《は》れて、Rim-b....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
方に寄り重なった雲には、しだいに薄気味悪い墨色が加わってきた。そして、その一団の密雲は、ちょうど渓谷の対岸辺りを縁にして、除々と西北の方角に動きはじめたのであっ....
透明猫」より 著者:海野十三
うすぐらくなっていた。 まだ春は浅く、そしてその日は曇《くも》っていて、西空に密雲がたれこみ、日が早く暮れかけていた。 青二は、すきな歌を、かたっぱしから口....
空中墳墓」より 著者:海野十三
そして三十分程ちらりちらりと月の顔を見ることが出来たと思うと、あとは又元のように密雲に蔽われてしまう筈である。月が顔を出している三十分の間に私は仕事をやらねばな....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
くるな) 味方にとっては、いよいよ事態は不幸に向っていった。西に傾いた太陽は、密雲の蔭にスッカリ隠れてしまったり、そうかと思うと急にその切れ目から顔を現わして....
怪塔王」より 著者:海野十三
としそうになる怪塔ロケットのあとを、一生けんめいにおいかけています。 ある時は密雲のなかに途方にくれ、またある時は急旋回をして方向をかえたり、ものすごい追跡ぶ....
空中漂流一週間」より 著者:海野十三
コフの顔を見やった。 「おう、雲だ。いよいよ下るぞ」 ほんの僅かの間に、気球は密雲の中に包まれてしまった。見る見るうちに、服はびっしょり水玉をつけ、やがてその....
病房にたわむ花」より 著者:岡本かの子
た。その春、私が連れて行かれたその狂院に咲き満ちて居た桜の花のおびただしさ、海か密雲に対するように始め私は茫漠として美感にうたれて居るだけでした。が、やがて可憐....
貞操問答」より 著者:菊池寛
賀の云うとおりであった。このわずか一月ばかりの幸福な生活の地平線に、たちまち黒い密雲の立ち掩うて来るのを感じた。新子は、さしうつむいたままだまっていた。 「僕は....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
く、円材にあたる風のひゅうひゅうという陰気な音を除いては、まったく静寂であった。密雲が北西の方から押し寄せて来て、その雲の投げたあらい触角が、月の面を横ぎって流....
空中に消えた兵曹」より 著者:田中貢太郎
機は一千|米の高度を保ちながら雁行していたが、箱根の上空にさしかかったところで、密雲のために視界を遮られたうえに、エアーポケットに入って機体が烈しい勢いで落下し....
田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
。 家の中に息づまるような、厭な小暗さが加って来た。家の人達と彼との間に陰気な密雲が蔽いかぶさったようになって、名前をもってたがいを呼び合うというような事が、....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
知れるのは、島をかこむ海水と平和湖の水色ばかりである、北南西の三方はみな重々たる密雲でとざされ、東の一角だけが、断雲のあいだに、三五の星がさんぜんとかがやいてい....
母と娘」より 著者:岡本かの子
母様の叫び声に近い言葉に跳ね起きました。大砲を打つと言うのです。黒い雹を降らせる密雲が北の方からやって来ると言うのです。私は一寸軽蔑したいような気持になりました....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
が来た。勿論この三時は欧羅巴の三時である。米国の三時では無い。 太陽の大火熱は、密雲を照らし破りて、又も下界を射るに至れり、熱さは前よりも更に強くして、しかも刻....