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寐
「寐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
の灯火のように覚束《おぼつか》ない命を守らなければならぬ。見給え。鳥はもう静かに
寐入《ねい》っている。羽根|蒲団《ぶとん》や枕《まくら》を知らぬ鳥は!
鳥はも....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
《あおざ》めて戦《おのの》きぬ。この俊爽なる法官は実に渠が三年《みとせ》の間|夢
寐《むび》も忘れざりし欣さんならずや。渠はその学識とその地位とによりて、かつて馭....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
えて、薄暗《うすぐら》い処でお休みなさいと命令されるが、私は夜が更《ふ》けるまで
寐《ね》ることが出来ないから、その間の心持といったらない、殊《こと》にこの頃《ご....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
邪の気味。それでは、お見舞に、と奥に入ろうとする縁側で、女中が、唯今すやすやと御
寐になっていらっしゃいます、と云う。 悄々玄関へ戻って、お嬢さんは、と取って置....
「海異記」より 著者:泉鏡花
敷妙の一粒種。日あたりの納戸に据えた枕蚊帳の蒼き中に、昼の蛍の光なく、すやすやと
寐入っているが、可愛らしさは四辺にこぼれた、畳も、縁も、手遊、玩弄物。 犬張子....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
は残燈に消え残る、幻のような姿で、蚊帳の中から女中を呼んだ。 けれども、直ぐに
寐入ったものの呼覚される時刻でない。 第一(松、)という、その声が、出たか、そ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ぶこと一通でないぞ。中には夜行をするのに、あの印ばかり狙いおる奴がある。ぐッすり
寐込んででもいようもんなら、盗賊が遁込んだようじゃから、なぞというて、叩き起して....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
。」 と思わずしゃべった。 「その香の好さと申したら、通りすがりの私どもさえ、
寐しなに衣ものを着換えましてからも、身うちが、ほんのりと爽いで、一晩、極楽天上の....
「墓」より 著者:秋田滋
一八八三年七月十七日、草木もねむる真夜なかの二時半のことである。ベジエ墓地のはずれに建っている小さなほったて小屋に
寐起きをしている墓番は、台所のなかへ入れておいた飼犬がけたたましく吠えだしたので....
「初雪」より 著者:秋田滋
* * * 夜になった。彼女は自分の
寐間へあがって行った。彼女のたのみで、夫婦の
寐間は別々になっていたのである。彼女....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
人の残りものを食べて露命をつなぎ、夜はまた夜で、寒さに悩みながら冷たい板の間で旅
寐の夢をむすぶ身となった。こうした苦労がつもり積って、夫婦はめっきり体が弱ってし....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
様の浴衣こそ菊枝をして身を殺さしめた怪しの衣、女が歌舞伎の舞台でしばしば姿を見て
寐覚にも俤の忘られぬ、あこがるるばかり贔屓の俳優、尾上橘之助が、白菊の辞世を読ん....
「「ああしんど」」より 著者:池田蕉園
隠居様のようになっていたんで御座いましょうね。 冬、炬燵の上にまあるくなって、
寐ていたんで御座いますって。 そして、伸をしまして、にゅっと高くなって、 「あ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
外になお一人の声しけり。 「お前、御苦労であった。これで家へ帰っても枕を高うして
寐られるというものだ。「旦那もう帰国ますか。この二人は主従と見えたり。「ああして....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
板なんぞは湿っている。都会がもう目を醒ます。そこにもここにも、寒そうにいじけた、
寐の足りないらしい人が人道を馳せ違っている。高架鉄道を汽車がはためいて過ぎる。乗....