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寒中
「寒中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寒中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
、柔道の選手で、賄征伐《まかないせいばつ》の大将で、リヴィングストンの崇拝家で、
寒中《かんちゅう》一重物《ひとえもの》で通した男で、――一言《いちごん》にいえば....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
快に数えているではないか? 且《かつ》又水や寒気などにも肉体的享楽の存することは
寒中水泳の示すところである。なおこの間の消息を疑うものはマソヒズムの場合を考える....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
まりもはいっている――それもこの頃の陽気ばかりだと、さほどこたえはしますまいが、
寒中でもやはり湯巻き一つで、紛々と降りしきる霙《みぞれ》の中を、まるで人面の獺《....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
引戸を開けられたままでいたことだった。考えるまでもなくこれは確かに可笑しい。この
寒中の夜に部屋の窓のあけ放されている筈はない。二人の大人を叩き殺して子供を奪い取....
「大使館の始末機関」より 著者:海野十三
博士を骨にして見せて下され」 「いざ、いざ、これを見よや」 王水険老師は、この
寒中に汗だくだくとなって、廊下の床をおとすスィッチを引いた。 金博士は、廊下を....
「東京要塞」より 著者:海野十三
からどんな苦情をうけるかと思うと、彼は気が気でないのだと包み隠さずにいって、この
寒中に額にびっしょりとかいた汗を手巾で拭った。 「幸いお前さんが、左官をやれると....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
が暑いくらいで、そんな状をするのではありません。実はまるで衣類がない。――これが
寒中だと、とうの昔凍え死んで、こんな口を利くものは、貴方がたの前に消えてしまって....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
小遣の無心に来て、泊込んでおりました、二見から鳥羽がよいの馬車に、馭者をします、
寒中、襯衣一枚に袴服を穿いた若い人が、私のそんなにされるのが、あんまり可哀相な、....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
もまた僕の横にあった長椅子の背に如何にもだらりと脱ぎかけてあった。 「しかも今は
寒中だと云うのに」 僕はこんなことを考えながら、もう一度廊下を引き返して行った....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
の薬は奇妙キテレツのものであったから、家へ帰ると、またほかのことで急がしかった。
寒中の蘆の根、三年の霜を経た甘庶、番い離れぬ一対の蟋蟀、実を結んだ平地の木……多....
「妖怪学」より 著者:井上円了
しき夜ならは雨としれさてはぬす人ゆたんはしすな 俗に寒割ととなうるものありて、
寒中三十日間の天気を見て、一年中の晴雨、豊凶を前定するなり。また、俗に雪は豊年の....
「妖怪学一斑」より 著者:井上円了
すな 右の歌によって、天気の晴雨を知ることができる。また、俗に寒割ととなえて、
寒中の三十日をもって一年にかたどり、それによって年内の天気を知ることができると申....
「西航日録」より 著者:井上円了
回あるのみ。ことに天気の変わりやすく、たちまち曇り、風雨にわかに至るがごときは、
寒中の梅雨を見る心地せり。英人の諺に「三月疾風、四月驟雨」と唱え、三、四月は最も....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
声ではなかった。学生時代から江戸川の土手や三宅島の海岸で怒濤を相手にし、あるいは
寒中、深夜、野原に出て寒げいこを行い、また謡曲がよいというので観世流を習ったりし....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
いる間に顔に墨を塗られて笑い者になったり、返事の仕様が悪いと小言を食ったりした。
寒中のふき掃除や早朝の門前掃除で手足はしもやけで赤ぶくれになった。特に意地が悪か....