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寒冷紗
「寒冷紗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寒冷紗の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
。その音調は全くの東京ものである。余は突然立って、窓の外を眺めた。あいにく窓には
寒冷紗《かんれいしゃ》が張ってあった。手早く硝子《ガラス》を開けて首を外へ出すと....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
人の坐っている番台のふちに片手をかけて女に向うと、女はまた、どこで得たのか、白い
寒冷紗の襞つき西洋寝巻きをつけて、そのそばに立ちながら涼んでいた。湯あがりの化粧....
「人間灰」より 著者:海野十三
かなり湖水近くまで来たと思ったときに、一つの墓地に迷いこんだ。そこには、真新しい
寒冷紗づくりの竜幡が二|流ハタハタと揺めいている新仏の墓が懐中電灯の灯りに照し出....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
いななく声、にわかにあたりは騒々しくなった。夜は町の豪家の門に何中隊本部と書いた
寒冷紗の布が白く闇に見えて、士官や曹長が剣を鳴らして出たりはいったりした。 そ....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
寄って来る理由はタッタ一つ……その沿岸の水中一面に発生するプランクトンといって、
寒冷紗の目にヤット引っかかる程度の原生虫、幼虫、緑草、珪草、虫藻なぞいう微生物を....
「B教授の死」より 著者:寺田寅彦
の自分のところへ電話をかけたということである。 ベッドの上に掛け回したまっ白な
寒冷紗の蚊帳の中にB教授の静かな寝顔が見えた。枕上の小卓の上に大型の扁平なピスト....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
白い月が風に吹きかえされたかのように仰向きになって懸っていて、まるで透きとおった
寒冷紗のような薄雲《うすぐも》が一つ空を飛んでいた。風のために話をすることも出来....
「梟啼く」より 著者:杉田久女
うとうあの異境で死んでしまった。 五寸四角位な白木の箱におさめられた遺骨は白の
寒冷紗につつまれて、仏壇もない、白木の棚の上に安置された。信のおもちゃや洋服は皆....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
ますが、その中で、夏向きになって来ると、種々な虫の形を土で拵えて足は針金で羽根は
寒冷紗または適当な物で造り、色は虫その物によって彩色を施し、一見実物に見えるよう....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
を売るよりは博覧会が珍らしかったのである。俺は貧乏人だから絹が買えないといって、
寒冷紗の裏へ黄土を塗って地獄変相図を極彩色で描いた。尤も極彩色といっても泥画の小....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
の島々においてはすでに承認せられている。あのフィリッピンの婦人の着物で見るような
寒冷紗というものが行われてから、かなり土人の体力を弱めている。この方面の伝道師に....