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寒天
「寒天〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寒天の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
でひどい苦しみを、うけずにすんだかもしれないわ。あの病いの始めのうちは、肌の色が
寒天のように、それはそれは綺麗に透き通ってくるんですって。それから、痺《しび》れ....
「鮨」より 著者:岡本かの子
ら、互いの買いものを見せ合った。湊は西洋の観賞魚の髑髏魚を買っていた。それは骨が
寒天のような肉に透き通って、腸が鰓の下に小さくこみ上っていた。 「先生のおうち、....
「蠅男」より 著者:海野十三
がつかない風だった。 生きている主人 夜はいたく更けていた。 仰ぐと、
寒天には一杯の星がキラキラ輝いていた。晴れ亙った暗黒の夜―― ほとんど行人の姿....
「地球盗難」より 著者:海野十三
る白幽霊の一団の前に進みいでた。彼はこわごわ彼等の様子を観察した。彼等はまるで白
寒天のように半透明であった。身体の大きさは人間より一まわりほど大きかった。一言で....
「河明り」より 著者:岡本かの子
と、元のものはすでに形を変えている。 積荷の塩魚のにおいの間から、ふとすると、
寒天や小豆粉のかすかなにおいがする。陸地に近づくと大きな蝶が二つ海の上を渡って来....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
者の話題に上ることだ。人は、不動産をより多く持っている人間を羨んだ。 それが、
寒天のような、柔かい少年の心を傷つけずにいないのは、勿論だった。 僕は、憂鬱に....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
に入れまいらせてから、密《ひそか》に諫言《かんげん》を上《たてまつ》って、今此の
寒天に此処より遥に北の奥なるあたりに発向したまうとも、人馬も労《つか》れて働きも....
「小公女」より 著者:菊池寛
の力の助けで、アアミンガアドもそれらのものを朧に見る気がしました。手籠の中から、
寒天菓子や、果物や、ボンボンや、葡萄酒が取り出されるにつれ、宴会はすばらしいもの....
「まぼろし」より 著者:国木田独歩
ないで、横にそれて別に一小沢を造り、ここに淀み、ここに腐り、炎天にはその泥沸き、
寒天にはその水|氷り、そしてついには涸れゆくをまつがごときである。しかしかれと対....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
まったばかりでなく、先刻盤得尼の手紙を読んで妄覚と笑ったものが、今や彼の眼前で、
寒天のように凝り固まって行こうとしている。そこに横たわっている尼僧の屍体も玉幡も....
「外米と農民」より 著者:黒島伝治
ようにたいてみた。 小豆飯にたいてみた。 食塩をいれていく分味をつけてみた。
寒天をいれて、ねばりをつけた。 片栗をいれてねばりをつけた。 内地米と外米の....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
く唇にすすって含めるし遠くは想いを海王星の果てまでも運んで呉れる。 巴里の空は
寒天の寄せものだし、伯林の空は硝子製だし、倫敦の空は石綿だった。そしていまこの日....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
い二階から、銀杏返で、肩で、脊筋で、半身で、白昼の町の人通りを覗きながら、心太や
寒天を呼んだのはまだしも、その素裸で、屋根の物干へ立って、遥に公園で打揚げる昼花....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
したがちょうどそれが陰暦の六月十三日の晩ですから
広原中の露宿及び雪豹
と
寒天に輝いて自分の野宿して居る前を流れて居る川に映っているです。語るに友なし折々....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
綿状になり、繊維になり、液状のパルプになって、また紙漉機械へ流れ入る。桐の花色の
寒天体になり、乾燥し、また紙に還る。虚心で、迅速、無常光明世界だ。その世界にだ、....