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寒暑
「寒暑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寒暑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
頭痛に悩まされるにつけ、何一つからだに申し分のなかった十代の昔を思い忍んだ。晴雨
寒暑というようなものがこれほど気分に影響するものとは思いもよらなかった葉子は、寝....
「新生」より 著者:島崎藤村
殆ど全部の書籍を売払った。それから、外国の客舎の方で部屋着として着て見ようと思う
寒暑の衣類だけを別にして、園子と結婚した時からある古い羽織|袴《はかま》の類から....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
してはいられなくなった。そして君はまっしぐらに労働生活のまっただ中に乗り出した。
寒暑と波濤と力わざと荒くれ男らとの交わりは君の筋骨と度胸とを鉄のように鍛え上げた....
「死生」より 著者:幸徳秋水
、彼等は大抵栄養の不足や、過度の労働や、汚穢なる住居や、有毒なる空気や、激甚なる
寒暑や、扨は精神過多等の不自然なる原因から誘致した病気の為めに、其天寿の半にだも....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
きことはもとより庭園にある記念の古松等はみだりに伐採しないであろう、衣食住の三は
寒暑に応じ適当の調進を欠くまいしかつ雑費として毎月一円ずつ必ず差し上げるであろう....
「不審庵」より 著者:太宰治
る。黄村先生には、この掛軸一本しか無いようである。私は掛軸の文句を低く音読した。
寒暑栄枯天地之呼吸也。苦楽|寵辱人生之呼吸也。達者ニ在ッテハ何ゾ必ズシモ其|遽カ....
「物理学と感覚」より 著者:寺田寅彦
うものが視覚の欠けた人間には到底時間の経過を感じさせる材料にはなるまい。それでも
寒暑の往来によって昼夜季節の変化を知る事はある程度までできる。振り子のごとき週期....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
興味あるものであろう。 倉庫や地下室の中の空気は温度がほとんど均等でこのような
寒暑の粒の交錯がない、つまり空気が死んでいる。これに反して山中の空気は生きている....
「死刑の前」より 著者:幸徳秋水
は、たいてい栄養の不足や、過度の労働や、汚穢なる住居や、有毒なる空気や、激甚なる
寒暑や、さては精神過多等の不自然な原因から誘致した病気のために、その天寿の半ばに....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
そして必然的に一致するのだ。そのため、父祖伝来猛牛の血を享けている若牛は、山野の
寒暑に曝されて全く原始牛のような生活をしているうちに、すこしも牛という家畜の概念....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
利益になろうが、なるまいが、どうあっても遂行せねばならぬことになっている。風雨、
寒暑、五|穀の豊凶、ありとあらゆる天変地異……それ等の根抵には悉く竜神界の気息が....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
悲しみは増すばかりであった。ああ、最初の土地の森にいつまでも居たら、飢え、渇き、
寒暑の感覚以上のことを知りも感じもしなかったのに! 「ものを知るということは、な....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
な大ブルジョア大貴族と申すべきであるかも知れん。彼女らが歩く天下の道は全て難民が
寒暑をいとわず献身的な保護に当っているのだ。そして手厚く保護せられた動物のよさが....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
用いると、身体を洗って自然にフンドシのセンタクもできる。肌ざわりよく湿気を防ぎ、
寒暑ともに良いものである。 むかし我々の先祖は忍術というものを空想した。自分の....
「砧」より 著者:上村松園
そは賎が女の打つ砧の音だと告げ、蘇武が胡国にさすらえていた折、故国にあるその妻が
寒暑につけても夫の身を案じつつ打った砧の音が遠く万里を隔てた夫の枕上に響いたとい....