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寒竹
「寒竹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寒竹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
縞《こうしじま》の派手《はで》なハンケチをまきつけて、鞭《むち》かと思うような、
寒竹《かんちく》の長い杖をちょいと脇《わき》の下へはさんでいる。服装と云い、態度....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
たちダンビラ抜くかもしれんから、十手の用意をしておくがいいぜ」 うまいぐあいに
寒竹笹《かんちくささ》の浅い繁みが玄関わきの左手にあったものでしたから、伝六は十....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
物があったからのことでした。その井戸のある場所がまた変なところで、玄関の丁度右、
寒竹が植わって、今は全く井戸の形も影もないが、人の噂によると、昔、ここは神谷なに....
「花物語」より 著者:寺田寅彦
らやましい心をおさえて川沿いの岸の草をむしりながら石盤をかかえて先生の家へ急ぐ。
寒竹の生けがきをめぐらした冠木門をはいると、玄関のわきの坪には蓆を敷き並べた上に....
「球根」より 著者:寺田寅彦
よりほかに、こういう物を送って来そうな先は考えられなかった。去年の秋K市の姉から
寒竹の子を送ってくれた事、A村の姉からいつか茶の実をよこした事などが思い出された....
「森の絵」より 著者:寺田寅彦
帰って夕飯の膳についても絵の事が心をはなれぬ。黄昏に袖無を羽織って母上と裏の垣で
寒竹筍を抜きながらも絵の事を思っていた。薄暗いランプの光で
寒竹の皮をむきながら美....
「重兵衛さんの一家」より 著者:寺田寅彦
想像される。その頃のわが家を想い出してみると、暗いランプに照らされた煤けた台所で
寒竹の皮を剥いている寒そうな母の姿や、茶の間で糸車を廻わしている白髪の祖母の袖無....
「郷土的味覚」より 著者:寺田寅彦
。そういう例は色々ある中にも最も手近なところで若干の食物が数えられる。その一つは
寒竹の筍である。 高知近傍には
寒竹の垣根が多い。隙間なく密生しても活力を失わな....
「河霧」より 著者:国木田独歩
の遠くには陽炎がうらうらとたっている。 一匹の犬が豊吉の立っているすぐそばの、
寒竹の生垣の間から突然現われて豊吉を見て胡散そうに耳を立てたが、たちまち垣の内で....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
よう。さあさあおいで、行ってお泊り」 云いすてると老人は腰を延ばし、突いていた
寒竹の鞭のような杖を、振るようにして歩み去った。 若い武士は唖然としたようであ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
た。 蘆花の「思い出の記」や、木下尚江の「良人の告白」などそうして読んだ。 「
寒竹垣の下で虫が啼いている。月の光がきらきら……信じていつまでも待っています」 ....
「料理番と婢の姿」より 著者:田中貢太郎
、昼見ると下には清水の流れている小溝があって石菖などが生えていた。渡廊下の前には
寒竹のような小さな竹で編んだ眼隠がしてあった。入って往くと往き詰めの左側が共同便....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
で、墓地と畑の境にそそり立った榛の梢が煙のように、冴え渡る月を抽いて物すごい光が
寒竹の藪をあやしく隈どっている。幾つとなく群立った古い石塔の暗く、また明く、人の....
「縁談」より 著者:佐藤垢石
を財産にして豊かに暮らしていた。大きな母屋に、土蔵が三棟も続き、その間に樅と椿と
寒竹を植え込みにした庭を前に控えた第を私の室にあてがってくれた。まことに居心地の....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
し込み以上の疫病神だと、怒鳴るでがしょう。 一体何という藪だ、破竹か、孟宗か、
寒竹か、あたまから火をつけて蒸焼にして噛ると、ちと乱だ。楊枝でも噛むことか、割箸....