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「寒風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

寒風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
帰って来た豹一は、しかし昨日のままの失業者に過ぎなかった。 三 凍てついた道を寒風が吹き渡っていた。豹一は寒そうに身を縮めたしょんぼりした恰好で、街から街へ就....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
解してここでは話もならぬからといって、飛行機を下りた。二人は、飛行場のまん中で、寒風に吹き曝《さら》されながら立ち話を始めた。 取引の契約が調《ととの》ったあ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
春の巷は寂々寥々。往来で迂闊に紙鳶などを揚げていると、巡査が来てすぐに叱られる。寒風に吹き晒されて、両手に胼を切らせて、紙鳶に日を暮らした三十年前の子供は、随分....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ういう現象の一部に当るのでしょうか、自分では何を弾いているのか無我夢中のくせに、寒風が私の顔を、斑に吹き過ぎて行くことだけは、妙に明瞭と知ることが出来ましたもの....
碧蹄館の戦」より 著者:菊池寛
から伏勢は追い出されて散々である。宗茂この報を受けるや直ちに進登を命じた。この朝寒風が強い。宗茂|粥を作って衆と共に喫し、酒を大釜に温めて飲みもって士気を鼓舞し....
島原の乱」より 著者:菊池寛
侮り難い上に、寄手の軍勢は戦意が薄い為に、戦局は、一向はかばかしくない。温泉颪の寒風に徒らに顫え乍ら、寛永十四年は暮れて行った。其頃幕府は局面の展開を促す為、新....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
まく、入選すれば、クリスマスには二重のよろこびを持てるわけでした。身を切るような寒風の吹き荒ぶその日、ネルロは波打つ胸をおさえて、いよいよでき上った苦心の画を、....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
丹造は、流れ流れて故国の月をあとに見ながら、朝鮮の釜山に着いた。 馴れぬ風土の寒風はひとしおさすらいの身に沁み渡り、うたた脾肉の歎に耐えないのであったが、これ....
おびとき」より 著者:犬田卯
れて行った女房はまだ帰っていなかった。ぴゅうぴゅうと北極からでもやってくるような寒風が、雨戸の隙間から遠慮もなく吹き込んで、子供らは眠りながらもしだいに毬のよう....
アラン島」より 著者:片山広子
も掘つても岩のかけらばかりの畑にイモの種をまく景もあつたやうだ。ものあはれな麦が寒風に吹かれてゐる景もあつた。少年がひとり、高い崖の上からつり糸を垂れてゐる景。....
思い出草」より 著者:岡本綺堂
春の巷は寂々寥々。往来で迂濶に紙鳶などを揚げていると、巡査が来てすぐに叱られる。寒風に吹き晒されて、両手に胼を切らせて、紙鳶に日を暮した二十年|前の小児は、随分....
西航日録」より 著者:井上円了
般に休業し、毎日寺院に参詣するを常習とす。このころ天候にわかに旧に復し、ときどき寒風雪を巻きて襲来するあり。あたかも日本の二月ごろの気候にひとし。かかる気候の激....
越年」より 著者:岡本かの子
街へ二回も廻って歩いた。しかし堂島は遂に姿を見せないで、路上には漸く一月の本性の寒風が吹き募って来た。....
快走」より 著者:岡本かの子
道子は夢のような気がした。夢なら醒めないうちにと手早く身支度をし終って表へ出た。寒風の中を一散に堤防目がけて走った。――今夜は二日分、往復四回駆けてやる―― ....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ると、汽車が走りながら鳴らすカランカランという半鐘の音がきこえてくる。はだをさす寒風が吹きつのって手や顔はむしろ痛く、私が振るりんの音までが凍りつくようであった....