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寒駅
「寒駅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寒駅の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旅愁」より 著者:横光利一
は汽車から降ろされた。
乗り換えのない汽車だと聞かされてあったので、その村里の
寒駅へ放り出されては、何事がひき起されたのか全く矢代には分らなかった。むかし習っ....
「夜の靴」より 著者:横光利一
ばかりというところはここだけだった。この平野の、羽前水沢駅という札の立った最初の
寒駅に汽車が停車したとき、私は涙が流れんばかりに稲の穂波の美しさに感激して深呼吸....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
も家の屋根も人の顔も真赤だった。ヴィヤトカでまた雪。莫斯科へ着く朝、スポウリエの
寒駅で、はじめて常盤樹でない緑の色を見る。 野と丘と白樺の林と斑雪の長尺フィル....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
てをこころゆっくりと送迎してゆく手法にある。そうすると深夜に汽車のとまった山間の
寒駅にも、高架線の下に一瞥した廃墟のような田舎町にも、夏ぐさにうずもれた線路の枕....
「岷山の隠士」より 著者:国枝史郎
王の舟師を迎え討った。 永王軍は脆く破れた。 永王は箭に中って捕えられ、ある
寒駅で斬殺された。そうして弟の襄成王は、乱兵の兇刄に斃された。 李白は逃げて豊....
「夜汽車」より 著者:牧逸馬
には紐育へ着く――。 何の位い眠ったか解らない。ふと眼が覚めると、汽車は平原の
寒駅に止まって、虫の声がしていた。何時の間にか、田舎ふうの紳士がフリント君の前に....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
しい主街に、うるみながら黄いろい灯がちらりほらり点いて行く。私は日本の東北の或る
寒駅に汽車を待佗びている旅人のような気がして故国との距離感を暫く忘れたほど東洋的....
「向嶋」より 著者:永井荷風
愛シテ聴クベキナリ。馬ノ蒭《まぐさ》ヲ食フ。モトヨリ何ノ趣アランヤ。独《ひとり》
寒駅ノ泊リ壁ヲ隔テテコレヲ聞ケバ大ニ趣ヲ成ス。晁氏ガ小雨暗々トシテ人寐ネズ。臥シ....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
して深く説明するにも及ぶまい。鴨川《かもがわ》の芸妓は幕吏に追われる志士を救い、
寒駅の酌婦は関所破りの博徒に旅費を恵むことを辞さなかった。トスカは逃竄《とうざん....
「I駅の一夜」より 著者:中谷宇吉郎
やっと蒲団を敷くくらいの畳があいているだけである。私はたった今の今まで、東北線の
寒駅の暗い街をさまよい歩いていたことをすっかり忘れてしまっていた。 火鉢とお茶....