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寓
「寓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「死後」より 著者:芥川竜之介
の葉桜の枝さえきのう見た時の通りだった。が、新らしい標札《ひょうさつ》には「櫛部
寓《くしべぐう》」と書いてあった。僕はこの標札を眺めた時、ほんとうに僕の死んだこ....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
ら、五百人の力士の口へ一人も洩《も》れず注がれる。――そう云う天竺《てんじく》の
寓意譚《ぐういたん》は、聞くともなく説教を聞いていた、この不幸な女の心に異常な感....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
弥は、ついに幽明を隔てて、永《なが》く恩人と相見るべからざるを憂いて、宣告の夕べ
寓居《ぐうきょ》の二階に自殺してけり。 (明治二十七年十一月一日―三十日「読売新聞」)....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ここに三画伯の扮装を記したのを視て、衒奇、表異、いささかたりとも軽佻、諷刺の意を
寓したりとせらるる読者は、あの、紫の顱巻で、一つ印籠何とかの助六の気障さ加減は論....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
門で、活溌に若い声で呼んだ。 呼ばれたのは、知事の君が遠縁の法学生、この邸に奇
寓する食客であるが、立寄れば大樹の蔭で、涼しい服装、身軽な夏服を着けて、帽を目深....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
でないが、彼女自身の通信によれば、落城後間もなく病にかかり、油壺の南岸、浜磯の仮
寓でさびしく帰幽したらしいのであります。それかあらぬか、同地の神明社内には現に小....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
一 玩具と言えば単に好奇心を満足せしむる底のものに過ぎぬと思うは非常な誤りである。玩具には深き
寓意と伝統の伴うものが多い。換言すれば人間生活と不離の関係を有するものである。例....
「佐藤春夫氏の事」より 著者:芥川竜之介
南瓜を求むるに若かず。 三、佐藤の作品中、道徳を諷するものなきにあらず、哲学を
寓するもの亦なきにあらざれど、その思想を彩るものは常に一脈の詩情なり。故に佐藤は....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
半年あまりで解消になつた。伊藤は蒲田へ移り住むことになり私は新宿のほうの親戚へ寄
寓することになつたのである。新宿へ移つてから従姉のおともなどをして武蔵野館へよく....
「感応」より 著者:岩村透
養成する目的で、この巴里の美術学校へ送られたのである。私はこの男と共に、巴里の一
寓に住まって、朝夕皿を洗ったり、煮物をしたりして、つまり二人で自炊生活を営んでい....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
色とするは時代を無視した謬見である。 椿岳は物故する前二、三年、一時|千束に仮
寓していた。その頃女の断髪が流行したので、椿岳も妻女(小林家の)の頭髪を五分刈に....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
篤学であろうと想像し、敬意を表しかたがた今後の寄書をも仰ぐべく特に社員を鴎外の仮
寓に伺候せしめた。ところが社員は恐る恐る刺を通じて早速部屋に通され、粛々如として....
「西航日録」より 著者:井上円了
見ることを得ず。実に大国の地勢なり。カルカッタ着後、哲学館出身者大宮孝潤氏をその
寓居にたずね、当夕ここに一泊す。氏は久しくインドにありて、多年サンスクリットを研....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ありという。秋洲船医およびウィルキンソン氏の紹介により、フィッツロイ公園の傍らに
寓居を定む。メルボルンの気候はシドニーよりいくぶんか冷気の加わりたるがごときも、....
「松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
切なり。去る十七年の夏、偶事に因て出京せるを幸い、平素の欲望を達せん事を思い、旅
寓に投じて、行李を卸すや否や、先ず主人を呼で二氏の近状を問う。主人答て曰く、團十....