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寝す
「寝す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寝すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ようやく睡《ねむ》そうに大きな目を静かに開いて、姉が枕もとにいるのに気がつくと、
寝すごしでもしたと思ったのか、あわてるように半身を起こして、そっと葉子をぬすみ見....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
いつまでも戸をあけないのを不思議に思って、近所の者が戸をこじあけて窺うと、お里の
寝すがたは階下《した》の六畳に見えなかった。彼女は二階に若い男と枕をならべたまま....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
ったのである。 六 夕刊第一版の原稿〆切は正午だった。 昨夜の疲れですっかり
寝すごしてしまった豹一が出社したのは、もう十一時近かった。豹一は尾行記の原稿を〆....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
一服すったが、二階じゅうはしんと寝静まって夜はもう余ほど更けているらしい。これは
寝すごしたと慌てて起き直ると、いつも自分を起してくれるはずのお駒は正体もなく眠っ....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
帰って寝たのが一時半だった。そのときに春江はじめ四人の女給はもう寝ていたが春江の
寝すがたが莫迦に細っそりしているので不思議に思い、側によってよく改めて見ると、春....
「河明り」より 著者:岡本かの子
、ホテルと君の事務所へ電話をかけてみたが、出ているというので、退屈凌ぎにここへ昼
寝する積りで来てたんだが……」ひょっとするとここへ廻るかも知れないとも思った。な....
「わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
尤も私は時々この会社へ宿酔をさましに遊びに行つて社長の空椅子にふんぞりかへつて昼
寝するものだから、支店長が怖れをなして入社させてくれないので、尤も入社しなくて良....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
遠慮もなしに彼女を見つめることが出来た。かれは質素な白い長い着物を着ている彼女の
寝すがたを見た。その白い着物がいかにもよくその顔に値いして、いい調和をなしていた....
「光は影を」より 著者:岸田国士
やゝ失望に似た気持で、もう一度、ベッドの方に視線をうつした。 なんという静かな
寝すがたであろう。だが、このまゝ彼女が、永久に眠つてしまうということはあり得ない....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
を沸かす支度などをしていた。炉にも赤い火が燃えていた。 「お早うございます。つい
寝すごしまして……。」と、叔父は挨拶した。 「いや、まだ早うございます。ゆるゆる....
「露の答」より 著者:坂口安吾
るよりオベッカを言うです。日雇人夫は仕事をなまけて仏壇の前でお線香をあげたまま昼
寝するです。そのくせ百姓が税金を納めなければ、あの人は軍隊をさしむけるです。けれ....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
極めて細微の事柄にも趣味の刺激を受くるのであるから、内心当に活動して居る、漫然昼
寝するなどということは、茶趣味の人に断じてないのである、茶の湯を単に静閑なる趣味....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
った中には交らないで、ひとり、束髪の水際立った、この、かげろうの姿ばかりは、独り
寝すると思ったのに―― 請う、自惚にも、出過ぎるにも、聴くことを許されよ。田舎....
「審判」より 著者:カフカフランツ
晩遅くまで常連と飲んだり騒いだりで例の酒場にいたので、ひどく疲れており、ほとんど
寝すごすところだった。じっくり考え、この一週間のあいだ考え抜いたさまざまなプラン....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
非はないが、ここは汝の儲け役、あいつをどうか、なあそれ、よしか、そこは源太を抱き
寝するほどのお吉様にわからぬことはない寸法か、アハハハハ、源太がいないで話も要ら....