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寝心
「寝心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寝心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
どうしたわけか別だけれども、あなたはびた一|文《もん》でも借りをしていると思うと
寝心地《ねごこち》が悪いというような気象を持っているじゃありませんか。それに心の....
「根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
ゃないかね、モガ/\おしでないてえば」 とお若が起しませんから、伊之助とて丁度
寝心のいゝ時節、飛起きたくはありますまいて。すると……、毎朝照っても降っても欠か....
「刺繍」より 著者:島崎藤村
》にくるまって曲《かが》んでいた彼の年老いた身体が、復《ま》た延び延びして来た。
寝心地の好い時だ。手も、足も、だるかった。彼は臥床《ねどこ》の上へ投出した足を更....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
街道を通る人馬の物音を聞きつけた。妻のお民は、と見ると、まだ娘のような顔をして、
寝心地のよい春の暁を寝惜しんでいた。半蔵は妻の目をさまさせまいとするように、自分....
「狐の手帳」より 著者:田中貢太郎
一と仲働の老婆を対手に留守居をしていた。 もう蚊もいなくなって襟元の冷びえする
寝心地の好い晩であった。お滝はその年十三になる新一を奥の室へ寝かして、己は主翁の....
「うつり香」より 著者:近松秋江
って客はないし、階下で老婢が慈姑を煮る香ばしい臭いをききながら、その夜くらい好い
寝心地の夜はなかった。 年が改まってからも今までのとおり時々お宮を呼んで加藤の....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
前、起してくれ」 「はい、起します」 中尉はそこにごろんと横に寝た。 「これは
寝心地がいいぞ。士官室の長椅子より上等だ。はははは」 中尉は豪快に笑った。そし....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、並べて取った床の中へ、すっぽり入って、引被って、可心持に寝たんだが。 ああ、
寝心の好い思いをしたのは、その晩きりさ。 なぜッて、宗山がその夜の中に、私に辱....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、そこもかしこも、放火だ放火だ、と取り騒いで、夜廻りの拍子木が、枕に響く町々に、
寝心のさて安からざりし年とかや。 三月の中の七日、珍しく朝凪ぎして、そのまま穏....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
減古くなった、短い縮緬の下じめを解いて前に出した。 「へえッ!」と、ばかり、私は
寝心よく夢みていた楽しい夢を、無理に揺り起されたようで、暫く呆れた口が塞がらなか....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
したらしい。おまけに、今夜の宿もよろしくなかったらしく、紀行には「其夜は雨ふりて
寝心も好からんと思ひのほかにて、蚤多く眠りかね、五時に起き出で、支度なしたり。」....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
て別りょか焦れて退きょかああわれこれをいかんせん昔おもえば見ず知らずとこれもまた
寝心わるく諦めていつぞや聞き流した誰やらの異見をその時初めて肝のなかから探り出し....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
ただけだった。 ゆうべは、疲れ果てた足を、煎餅布団に伸した、久し振りの我が家の
寝心地が、どこにも増してよかったせいか、枕に就くとそのまゝ眠りに落ちたので、実を....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
子の、透間から吹き込む風はかなり冷い。 二十一 早川の山小屋よりも
寝心地が悪い。柱時計の音は、十を数え十一を数え、十二を数えた。山中の夜は静かで、....
「挿話」より 著者:徳田秋声
や疲労を感じたころには、静かなこの廓にも太鼓の音などがしていた。 離れの二階の
寝心地は安らかであった。目がさめると裏の家で越後獅子のお浚いをしているのが、哀愁....