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寝顔
「寝顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寝顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
嫌だと思っていましたよ。何しろ薄暗いランプの光に、あの白犬が御新造《ごしんぞ》の
寝顔をしげしげ見ていた事もあったんですから、――」
婆さんがかれこれ一年の後《....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
に微笑の影があった。鳩は嫁莱の花を踏みながら、そっと彼の近くへ来た。そうして彼の
寝顔を覗くと、仔細らしく首を傾けた。あたかもその微笑の意味を考えようとでもするよ....
「或る女」より 著者:有島武郎
床にいざり寄って、その童女を羽《は》がいに軽く抱きすくめた。そしてしみじみとその
寝顔にながめ入った。貞世の軽い呼吸は軽く葉子の胸に伝わって来た。その呼吸が一つ伝....
「或る女」より 著者:有島武郎
たまだそれしきの事にくよくよしとるんか。ばかな。……それより妹たちは来とるんか。
寝顔にでもお目にかかっておこうよ。写真――船の中にあったね――で見てもかわいらし....
「星座」より 著者:有島武郎
は時おりぺンを措《お》いて、手を火鉢にかざさねばならなかった。そのたびごとに弟の
寝顔をふりかえってみた。仰向けに寝て(清逸には仰向けに寝るということがどうしても....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
より出《い》でていまだ小屋に還《かえ》らざれば、それかと白糸は間近に寄りて、男の
寝顔を※《のぞ》きたり。 新はいまだかくのごとくのんきならざるなり。渠ははたし....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
命の力から遠ざかって行く老人と、若々しい生命の力に悩まされているとさえ見える妹の
寝顔は、明滅する炎の前に幻のような不思議な姿を描き出す。この老人の老い先をどんな....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
自分の顔を写して見た。それが自分の肉との最後の別れだった。彼女の眼にはアグネスの
寝顔が吸付くように可憐に映った。クララは静かに寝床に近よって、自分の臥ていた跡に....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
ね、床の間の柱に、仰向けに凭れた方は水島(劇評家)さんです。フト口を開きか何か、
寝顔はという躾で、額から顔へ、ぺらりと真白は手巾を懸けなすった……目鼻も口も何に....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
きる、どうしたんだ」 見れば床にすわりこんで、浮かぬ顔をしていた妻は、子どもの
寝顔に目をとめ、かすかに笑いながら、 「まァかわいい顔して寝てる、こうしているの....
「古狢」より 著者:泉鏡花
す。まるで、黒雲の中から白い猪が火を噴いて飛蒐る勢で、お藻代さんの、恍惚したその
寝顔へ、蓋も飛んで、仰向けに、熱湯が、血ですか、蒼い鬼火でしょうか、玉をやけば紫....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
が出るか、蚊帳へ入って来そうでならぬ。 そういえば、掻き立てもしないのに、明の
寝顔も、また悪く明るい。 「貴下、寝冷をしては不可ません。」 寝苦しいか、白や....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
威勢よく云っていた。が、ものの三月と経たぬ中にこのべらぼう、たった一人の女房の、
寝顔の白い、緋手絡の円髷に、蝋燭を突刺して、じりじりと燃して火傷をさした、それか....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
と大の字|形、楫を枕の邯鄲子、太い眉の秀でたのと、鼻筋の通ったのが、真向けざまの
寝顔である。 傍の船も、穉いものも、惟うにこの親の子なのであろう。 廉平は、....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
とね、いい顔っこだこと。こんな子供ね百姓させられべいか!」 とお神さんは、子供の
寝顔を見て、つくづくと言うのでした。 太郎右衛門が子供を拾ったという噂が村中一....