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寝鳥
「寝鳥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寝鳥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
た事情なぞは尋ねようとも思わなかった。
すると三四日経ったある夜の事、彼が山へ
寝鳥《ねどり》でも捕えに行こうと思って、月明りを幸《さいわい》、部落の往来を独り....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
いまだポケットにはチョコレエトの棒も残っている。
聴き給え、高い木木の梢に何か
寝鳥の騒いでいるのを。鳥は今度の大地震にも困ると云うことを知らないであろう。しか....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
を呼びながら駈けた。 「藻よ。藻よ」 彼の足音に驚かされたのか、路ばたの梢から
寝鳥《ねとり》が二、三羽ばたばたと飛び立った。人間の声はどこからも響いてこなかっ....
「山椒大夫」より 著者:森鴎外
二人の子供は父母のことを言っていた。それを今度は三郎が通りかかって聞いた。三郎は
寝鳥を取ることが好きで邸のうちの木立ち木立ちを、手に弓矢を持って見廻るのである。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
のまん中らしいところを歩いてくると、片側に薄く明るい灯のかげが洩れた。頭のうえで
寝鳥の羽搏《はばた》きがきこえた。忠三郎はうすい灯のかげに梢を見あげてぎょっとし....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ると、眼のさきに支《つか》えている妙義の山は星あかりの下に真っ黒にそそり立って、
寝鳥をおどろかす山風がときどきに杉の梢をゆすっていた。大きい杉を小楯にして、半七....
「河明り」より 著者:岡本かの子
が、黒耀石のように結晶すると、そこからしとりしとり雫が垂れた。客の私が、却って浮
寝鳥に枯柳の腰模様の着物の小皺もない娘の膝の上にハンケチを宛てがい、それから、鮨....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
は鎌倉の下知によって、上様を失いたてまつる結構な。さりとは大事じゃ。 (遠近にて
寝鳥のおどろき起つ声。下田五郎は橋を渡りて出づ。) 五郎 常はさびしき山里の、今....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
憶があるので、デカは蛇を恐るゝのであろう。多くの猫は蛇を捕る。彼が家のトラはよく
寝鳥を捕ってはむしゃ/\喰うが、蛇をまだ一度もとらぬ。ある時、トラが何ものかと相....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
からね。でも、旅する人にも、一夜一夜の宿りというものはあります」 「一夜泊りの浮
寝鳥なんていう、はかないものでなく、土から生えて抜けない人生の安息所が欲しいとは....
「死者の書」より 著者:折口信夫
のなごりに、寝苦しがって居た女たちも、おびえ疲れに寝入ってしまった。頭上の崖で、
寝鳥の鳴き声がした。郎女は、まどろんだとも思わぬ目を、ふっと開いた。続いて今ひと....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
。外には暗い杉の木立がすくすくと突っ立っているばかりで、山風の音もきこえません。
寝鳥のさわぐ音もきこえません。その鎮まり返った中でじっと耳を澄ましていると、どこ....
「木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
ら彼は鉄砲を取り直して、空にむけて一発撃った。その筒音はあたりにこだまして、森の
寝鳥がおどろいて起った。重兵衛はそっと引っ返して中をのぞくと、旅人はちっとも形を....
「青蛙神」より 著者:岡本綺堂
あわせて半信半疑の体。高田と中二は事もなげに笑いながら、再び榻にかける。風の音。
寝鳥のおどろき起つ声。) ――幕―― 第二幕の登場人物 李中行 その妻 柳 そ....
「狐」より 著者:岡本かの子
、どうした。 ――三日前の夜の明けないうちでございます。夫はいつも通りわたくしに
寝鳥の肌ぬくい締め立てでも銜えて来て、私の朝飯に食べさそうと、目白あたりまであさ....