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寡言
「寡言〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寡言の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
度は市之助がお花の膝を借りて横になってしまった。半九郎は入れかわってまた飲んだ。
寡言《むくち》の彼も今夜は無器用な冗談などを時どきに言って、女どもに笑われた。 ....
「船医の立場」より 著者:菊池寛
渡航するために、生命をさえ払おうとしている……」 「しかし、ゲビス君!」いつもは
寡言《かごん》な提督《ていとく》ペリーが、重々しい口を開いた。「私も、あの青年た....
「新生」より 著者:島崎藤村
にはこれなく候。生命ある真の服従こそわが常の願いに候。思想の懸隔に加えて、平生の
寡言《かごん》のため、これらを言い出ずる機会もなく今日に至りしものにこれあり候。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
親許《おやもと》は江戸から五里七里は離れている者でなければいけない。年が若くて、
寡言《むくち》で正直なものに限る。それから一つは一年の出代りで無暗《むやみ》に動....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
蝶という娘を相手に、永代橋の際に茶店を出している。お蝶は上品な美しい娘で、すこし
寡言でおとなし過ぎるのを疵にして、若い客をひき寄せるには十分の価をもっていた。お....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
二人ぎりであった。伝四郎は今年|二十歳の独身者で、これも父に似て骨格のたくましい
寡言の男であった。おげんは二つちがいの今年十八で、色のすぐれて白い、ここらでは先....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、かかる大事を決行するの不可なるを説き、大使帰朝の後を待てと言いさとした。隆盛は
寡言の人である。彼は利秋のように言い争わなかった。しかしもともと彼の武人|気質は....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
、時々この淋しき父を見舞いに来る。父はたいていむっつりしている。しかし、ふだんは
寡言家でも、突如として恐るべき果断家に変ずる事もある。人格は、だいたい高潔らしい....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
五にて、これも先妻の腹なりしが、夫人は姉の浪子を疎めるに引きかえてお駒を愛しぬ。
寡言にして何事も内気なる浪子を、意地わるき拗ね者とのみ思い誤りし夫人は、姉に比し....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
待ちたまえ」 五年生の小原という青年は木馬の上に立って叫んだ。小原は平素|沈黙
寡言、学力はさほどでないが、野球部の捕手として全校に信頼されている。肩幅が広く顔....
「阿繊」より 著者:田中貢太郎
を択んで三郎と阿繊を結婚さしたが、老婆は阿繊に嫁入り仕度を十分にした。 阿繊は
寡言で怒るようなこともすくなかった。人と話をしてもただ微笑するばかりであった。昼....
「「沈黙」の話」より 著者:豊島与志雄
寡黙の徳を讃えるのは、東洋道徳の一つであり、西洋道徳の一微分でもある。常にそうだとは云えないが、或る場合に於ては、
寡言を金とすれば、饒舌は銅か鉄くらいのものだろうし、沈黙は金剛石ほどになるかも知....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
だ。彼の顔には愛嬌のいいところがなくなったし、開けっ放しの様子も少しもなくなり、
寡言な、怒りっぽい、危険な人間になっていた。 「ずいぶん高いんです。少々厄介です....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
い知りたいと思ったが、それに就いては奥さんも詳しく知らないと言った。先生は元来が
寡言の方で、ふだんでも家庭上必要の用件以外には、あまり多く奥さんやお嬢さんと談話....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
冥土から端書が来る処だった。 緑雨の眼と唇辺に泛べるであった。ドチラかというと
寡言の方で、眼と唇辺に冷やかな微笑を寄せつつ黙して人の饒舌を聞き、時々低い沈着い....