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寡黙
「寡黙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寡黙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
小野寺十内も、やはり口を斉《ひと》しくして、背盟《はいめい》の徒を罵りはじめた。
寡黙な間喜兵衛でさえ、口こそきかないが、白髪《しらが》頭をうなずかせて、一同の意....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
言うんだし、皆でよく今後を打合せたらどうだい」と横目でぼくを見ながらいう。日頃、
寡黙《かもく》なKOの主将、八郎さんまで、「よかろう」と積極的に嘴《くちばし》を....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
者のことか。あの背の高いそして口から煙草を放したことのない……」 「そうだ、あの
寡黙《かもく》な仙人のことだ。彼は見かけによらず、よく物を見通しているよ」 「水....
「鮨」より 著者:岡本かの子
いものだが、湊は、八分は相手に話さして、二分だけ自分が口を開くのだけれども、その
寡黙は相手を見下げているのでもなく、つまらないのを我慢しているのでもない。その証....
「惜別」より 著者:太宰治
た努力して標準語を使っても、さらに大いに笑われるような気がして、結局、むっつりの
寡黙居士になるより他は無いのである。私がその頃、他の新入生と疎遠だったのは、その....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
えっ、本艇は宇宙墓地の方へぐいぐい引張られていくのか。これは事重大だぞ」 近来
寡黙の士となっていたベラン氏が、めずらしく声をたてた。彼の顔にも血の気がなかった....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
不思議さで、人よ、渡るなかれと示しているのだ。 オフシェンコは、真面目そうな、
寡黙な男だ。しかし、その日はめずらしく口数が多く、折竹になにかと話しかけてくる。....
「人の国」より 著者:豊島与志雄
して、ひどく上機嫌になった。 その上機嫌は毎朝続いた。一度書斎にはいると、厳格
寡黙な研究家に返って、用を聞きにくるお清へも冗談口一つ利かなかったが、朝早く起き....
「「沈黙」の話」より 著者:豊島与志雄
寡黙の徳を讃えるのは、東洋道徳の一つであり、西洋道徳の一微分でもある。常にそうだ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いたが、しかし人生の美趣をなすところの一つの美徳が、彼らには欠けていた、すなわち
寡黙の美徳が。 クリストフは隠忍な気分になっていた。彼の我慢のない怒りっぽい気....
「白塔の歌」より 著者:豊島与志雄
ことになりました。 荘家へ来ました当時、柳秋雲は、その世馴れた態度と内気らしい
寡黙さとがへんに不調和でありまして、眼差には冷徹ともいえるような光を宿していまし....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
ところのある事から考えれば何の不思議もない事ではあるまいか。あるいはまた津田君の
寡黙な温和な人格の内部に燃えている強烈な情熱の※が、前記の後期印象派画家と似通っ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
拠立てている。 そして、その三人に挾まって、なんら特徴のないのが村次郎だった。
寡黙な、芸の引き立たないこの男は、容貌にも特徴がなく、いつも髪の毛に埃っぽい匂い....
「秋草の顆」より 著者:佐左木俊郎
寡黙と消極的な態度とは私達一族の者の共通性格と言ってもいいのだ。私は郷家に帰省し....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
が、子供の頃は痩せて弱そうな子であった判事が、今では身体の丈夫な、しかし、非常に
寡黙な、むしろ陰鬱に近い性格の人であるということなぞもその一つでした。ああ真面目....