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寧
「寧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
い》な商店の軒を並べた、江戸伝来の下町も何か彼を圧迫した。彼は本郷や日本橋よりも
寧《むし》ろ寂しい本所を――回向院を、駒止《こまど》め橋《ばし》を、横網を、割り....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
、時々母の顔に冷笑に近い表情を見ると、※をついたことを後悔する、――と云うよりも
寧《むし》ろ彼女の心も汲《く》み分けてくれない腰ぬけの母に何か情無さを感じ勝ちだ....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
んもやはり紺サアジの背広に新らしい麦藁帽《むぎわらぼう》をかぶっている。保吉は丁
寧にお時儀《じぎ》をした。
「お早うございます。」
「大分《だいぶ》蒸《む》すよ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ば、東京市外××村のS精神病院を尋ねてみるがよい。年よりも若い第二十三号はまず丁
寧《ていねい》に頭を下げ、蒲団《ふとん》のない椅子《いす》を指さすであろう。それ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
なせん》を燻《くん》じた後《のち》、今度は床《とこ》に懸けた軸《じく》の前へ、丁
寧に円い頭を下げた。軸は狩野派《かのうは》が描《か》いたらしい、伏羲文王周公孔子....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
人もない。だから、その当主たる斉広が、金無垢《きんむく》の煙管を持つと云う事は、
寧《むし》ろ身分相当の装飾品を持つのに過ぎないのである。
しかし斉広は、その煙....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
に粧《よそお》った支那美人を二三人乗せたボオトだった。僕はこれ等の支那美人よりも
寧《むし》ろそのボオトの大辷《おおすべ》りに浪《なみ》を越えるのを見守っていた。....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
、居眠りをしていた堀部弥兵衛が、眼をさますが早いか、慌ててその眼鏡をはずして、丁
寧に頭を下げた容子《ようす》である。これにはさすがな間喜兵衛も、よくよく可笑《お....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
千余年の歴史は眇《びょう》たる一クレオパトラの鼻の如何に依《よ》ったのではない。
寧《むし》ろ地上に遍満した我我の愚昧《ぐまい》に依ったのである。哂《わら》うべき....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
にない。それでも小僧さんは、レディ・オヴ・ザ・バアジならございますとか何とか、丁
寧に挨拶していた。大方この段鼻も涼しいので東京へ出て来たのだろう。 丸善に一時....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
だ。 最後に創作家としての江口は、大体として人間的興味を中心とした、心理よりも
寧ろ事件を描く傾向があるようだ。「馬丁」や「赤い矢帆」には、この傾向が最も著しく....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
でしょう。 勿論田舎者らしい所にも、善い点がないと云うのではありません。いや、
寧ろ久米のフォルトたる一面は、そこにあるとさえ云われるでしょう。素朴な抒情味など....
「小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
ている。僕も実際初対面の時には、突兀たる氏の風采の中に、未醒山人と名乗るよりも、
寧ろ未醒蛮民と号しそうな辺方|瘴煙の気を感じたものである。が、その後氏に接して見....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
目先生の滝田君を金太郎と呼ばれたのも当らぬことはない。しかしあの目の細い所などは
寧ろ菊慈童にそっくりだった。 僕は大学に在学中、滝田君に初対面の挨拶をしてから....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
官様と家来たちはちゃんと室の外までお出迎えして、朝太郎を床の間の前に坐らせて、丁
寧にお辞儀をしました。太郎右衛門は、庄屋から大体の話はきいて来たようなもののこの....