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「審美眼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

審美眼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
のは、ただ眼前《がんぜん》の人事風光をありのままなる姿として、もしくはこれをわが審美眼に漉過《ろくか》して、絵絹《えぎぬ》の上に移したものに過ぎぬ。花が花と見え....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
借金の催促状を示して近来の名文はまずこれでしょうと云ったという話があるから、君の審美眼も存外たしかかも知れん。どれ読んで見給え、僕が批評してやるから」と迷亭先生....
三四郎」より 著者:夏目漱石
―そら、そういう国柄《くにがら》だから、どうしたって材料の少ない大きな目に対する審美眼が発達しようがない。そこで選択の自由のきく細い目のうちで、理想ができてしま....
パンドラの匣」より 著者:太宰治
んを美しく見せているだけの話だ。女の容貌に就いては、僕のほうが君より数等きびしい審美眼を具有しているつもりだがね。けれども、あの時、女の顔の事などで議論するのは....
鏡花氏の文章」より 著者:中島敦
す。其処では醜悪な現実はすべて、氏の奔放な空想の前に姿をひそめて、ただ、氏一箇の審美眼、もしくは正義観に照らされて、「美」あるいは「正」と思われるもののみが縦横....
交遊断片」より 著者:豊島与志雄
しまい、私の戯曲の方は、感服出来ないから書き直せというのだ。私は不平の余り、彼の審美眼と彼の味覚とに疑問を懐こうかと思った……がそれは止めた。 * ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
った。クリストフがいらだって、過去の大家らの軛《くびき》を払いのけた時、パリーの審美眼と道徳とにたいする征途にのぼった時、それは彼にとって、これらの才人らにとっ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
リストフは、国民を向上させるために働いた人々にたいして、尊敬の念を感じた。彼らの審美眼の狭小なことやまたは天才の欠乏をさえも、後はもはやとがめようとは思わなかっ....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
つがえす。 それにしては、選ばれた花嫁が、どうも頭がよくないようだ。エンゼルの審美眼も、当にならない。 「それほどの覚悟なら、こッちで何もすることはなかろう。....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
物のマチス、銀灰色の縁、狂いのない掲げ振り、よく調子が取れている。将しく彼女には審美眼がある。だが以前の彼女には、すくなくともマチスに憧憬れるような、そんな繊細....
増上寺物語」より 著者:佐藤垢石
上の声価をもって世界に紹介されたであったろうと思う。 江戸時代の権勢と金力と、審美眼とを後世に残したこの増上寺を、徳川家の菩提所として定めたのは家康であった。....
衰えてきた日本料理は救わねばならぬ」より 著者:北大路魯山人
も大切でありますが、また食器の選び方も大切であります。食器を見るには、そのひとの審美眼で選ぶのであります。すべて当を得た食器を用いないと、引き立ちません。楽しみ....
世界の「料理王逝く」ということから」より 著者:北大路魯山人
ういう意味において、日本の今の料理界は淋しい。まして日本料理は、美術的であるから審美眼が要る。また、食品材料の品種がむやみに多いから、これをいちいち見分ける体験....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
は、片々たる葉っぱのことではなく、こういう物という風に、これからの若人の自然観も審美眼も違って来よう。日本画壇が、近ごろ、とみに衰退を呈し、洋画壇の新人のタッチ....
梅ちらほら」より 著者:吉川英治
手が少くないが、日本人の梅はやはり日本の梅である。光琳の梅にいたっては、世界人の審美眼を超えたものといえよう。抱一になって、同じ梅でも、だいぶ香品が下がる。 ....