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寵児
「寵児〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寵児の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
やがて自分の妄念《もうねん》をかき払うようにこういって、女中を呼んだ。
貞世は
寵児《ペット》らしくすっかりはしゃぎきっていた。二人《ふたり》が古藤につれられて....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ている隙《ひま》はないのだよ。切迫した事情があるんだ。そしてそれは僕を一躍世界の
寵児にしてくれるかもしれないのだ。お前が僕だったら、こんな千載一遇の機会をのがす....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
の一路を辿り、そしてそれは例外なしに、永遠不動の法則によりて支配せられる。何人も
寵児として特別の待遇に浴することなく、又何人も不可抗力の誤謬の為めに、無慈悲な刑....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
る。それと違つて、何の技巧も施さず自然にお客がよつてくるのだから、たゞもう時代の
寵児、単なる時代のイタヅラの私生児のやうなものでもあつた。何だい、毎日うるさいほ....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
が自慢で、不遇なギター弾きの深刻な悲恋か何か演じれば巧技忽ち一世を風靡して時代の
寵児となるのだけれども、それが分りすぎるから同僚の嫉みに妨げられて実現できないの....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
方面は土人司祭のバタチカンが司った。 ジョン少年と大和日出夫とは、この共和国の
寵児として仲間の者から可愛がられたが、云うまでもなくこの二人はこの上もない親友で....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
けてよりも以上に、彼の同輩たちにひけを取りはしなかった。 オールド・ベーリーの
寵児であり、普通刑事裁判所の
寵児であるストライヴァー氏は、自分の登って来た梯子の....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
蒼白い紗布でも張り廻したような、月明の春の夜が広がっている。そういう春の夜の
寵児かのように、のびやかな空へ顔を向けて、満開の白い木蓮が、簇々として咲いていた....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
養子となって、すべてを養父の前に控え目にしなければならなかったのに反し私は父母の
寵児としてわがまま勝手にふるまって育った勢ではないかと思う。私に節約の風がなく浪....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
は、この「シラノ・ド・ベルジュラック」の上演によって、一躍、少壮にしてパリ劇壇の
寵児となった劇詩人で、この芝居の空前の成功には三つの理由が挙げられています。即ち....
「アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
児の様に,美しい大自然に抱擁されてのんびりと楽しく生活していた彼等は,真に自然の
寵児,なんという幸福な人だちであったでしょう. 冬の陸には林野をおおう深雪を蹴....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
音もせず――獅子はひとえに嬰児になった、白光は頭を撫で、緑波は胸を抱いた。何らの
寵児ぞ、天地の大きな盥で産湯を浴びるよ。 散策子はむくと起きて、ひそかにその幸....
「秀吉・家康二英雄の対南洋外交」より 著者:国枝史郎
のために妨害されるかもしれないことを惧れた結果なのであった。つまり自分一人日本の
寵児になろうとしたのであって、秀吉のために横面を撲られて恐怖した彼が、家康によっ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
その椅子に坐した。奥田は東京市の名市長として最後の光栄を柩に飾ったが、本来官僚の
寵児で、礼儀三千威儀三百の官人|気質の権化であったから、豪放|洒脱な官界の逸人高....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
く、ただ言葉のうえでのみこれを鎮圧することです」 現実の問題として、伯爵は民衆の
寵児であるという位置を、放棄しようなどと夢見る必要はなく「あなたの名誉ある社会生....