寸の間[語句情報] »
寸の間
「寸の間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寸の間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
出来る事ならあの夢の事を知っているものは皆息の根を止めてしまわなければ、自分は一
寸の間も安心して眠る事は出来ない。そうしなければあの夢のために自分に向いて来た幸....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
、当然間もなく消えてしまいます。そこで、ふとカンバスから視線を離した川口氏は、一
寸の間に富士が消えてしまったのに気づいて、始めから本物だと思い込んでいただけに、....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
督は鶏冠を立てた牡鶏のように見廻った。 仕事の切れ目が出来たので、学生上りが一
寸の間風を避けて、荷物のかげに腰を下していると、炭山から来た漁夫が口のまわりに両....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
ポケットの中へ手を突込んで、先程の広告マッチを取り出し、ハンカチで穢れを拭って一
寸の間レッテルに見入っていたが、間もなく元気で話を続けた。 『で、その天祥丸って....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
云った。 ああ胆が潰れた! 甥の嫁なる姪の驚き方と云ったら! スクルージは、一
寸の間、足台に足を載せたまま片隅に腰掛けていた彼女のことを忘れてしまったのだ。で....
「好意」より 著者:豊島与志雄
払っていた。 「でも、余りに込み入ったお話をなさいますと……。」 「大丈夫だ。一
寸の間だから。」 看護婦が意味の分らない目配せを私の方にして、不機嫌そうに出て....
「丘の上」より 著者:豊島与志雄
、そっと近寄っていって声をかけました。するとあなたは、夢からさめたような風に、一
寸の間きょとんとして、それから急に、ぱっと微笑んで、にっこり笑ったじゃありません....
「二等車に乗る男」より 著者:豊島与志雄
るんです。と、こんどは少し電車の方がぬき出して、二三間先へ進んだかと思うまに、一
寸の間相並んで進んで、それから俄に、丁度潮の引くような工合に、電車がすーっと後れ....
「不肖の兄」より 著者:豊島与志雄
ん、注射を頼んでよ、後生だから……。おう痛い……痛いよう……。」 「我慢だよ、一
寸の間なんだから……。注射はもういけないって、先生が仰言ったでしょう。」 痛み....
「一つの愛情」より 著者:豊島与志雄
先生は私にもうどんなにか愛想をおつかしでいられましょう。私のような下らぬ者が、一
寸の間でも先生にお手紙差上げることが出来ましたのは、神様が、私の思いつめた心のた....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
のお相手をなさい。」 次郎は最初遠慮がちに縁台に腰を下したが、間もなく父と三四
寸の間隔をおいて、自分もごろりと横になった。彼はなぜか、父の真っ白な、ふっくらし....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
で、十一年が其の間奉公に陰陽なく、実に身を粉に砕いての働き、子に臥し寅に起き、一
寸の間も油断せず身体を苦しめ、身を惜まず働きまする。十一年目は丁度明和八年で、其....
「アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
まわりに, 金の滴降る降るまわりに.」 という歌をうたいながらこの小さい家を 一
寸の間にかねの家,大きな家に 作りかえてしまいました,家の中は,りっぱな宝物の積....
「湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
小さい宝を強く懐いている心を思わせた。黒い房々した髪を無雑作に束ねていた。 「一
寸の間《ま》、向うで暖っていて下さいよ。」と口早に彼女は二人に云った。 彼女は....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
下り始める、茫々たる霧は雪と溶け合って、涯りの知れない鼠色の天地は、眼のあたり尺
寸の間に限られて、五、六歩の先に立った南日君の姿さえ掻き消すように失せている。雪....