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寸分
「寸分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寸分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
眼《うすめ》に天井を見つめていた。もう一人は陳彩であった。部屋の隅にいる陳彩と、
寸分も変らない陳彩であった。これは房子だった「物」に重なりながら、爪も見えないほ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
った額《ひたい》、長い睫毛《まつげ》、――すべてが夜半《やはん》のランプの光に、
寸分《すんぶん》も以前と変らなかった。左の眼尻《めじり》に黒子《ほくろ》があった....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
末再び、住吉屋七兵衛に命じて、金無垢の煙管を調製させた。前に河内山にとられたのと
寸分もちがわない、剣梅鉢の紋ぢらしの煙管である。――斉広はこの煙管を持って内心、....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
》れた素戔嗚には、まるで高天原《たかまがはら》の八衢《やちまた》のように、今では
寸分《すんぶん》の刺戟《しげき》さえない、平凡な往来に過ぎないのであった。
夕....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
たちが、私の顔色《かおいろ》を窺《うかが》っていました。ですから私は失望の色が、
寸分《すんぶん》も顔へ露《あら》われないように、気を使う必要があったのです。が、....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
クの Ratzel と云う宝石商は、ある夜|街《まち》の角をまがる拍子に、自分と
寸分もちがわない男と、ばったり顔を合せたそうでございます。その男は、後《のち》間....
「或る女」より 著者:有島武郎
せてから一週間もたたない後に、ひょっこり正井が顔を見せた。なかなかのしゃれ者で、
寸分のすきもない身なりをしていた男が、どこかに貧窮をにおわすようになっていた。カ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たと思うと、横倒れに、小町の膝へ凭れかかって、でれでれと溶けた顔が、河野英吉に、
寸分違わぬ。 「旦那いかがでございます。えへへ、」と、かんてらの灯の蔭から、気味....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
の長靴を見ろ。この剣を見ろ。この古いマントルを見ろ。黒ん坊の王が持っているのと、
寸分も違わない宝ばかりだ。 一同 (再び驚いたように)その靴が※ 主人 (疑わし....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
私と没交渉な愚かなことをしている間は、縦令山程の仕事をし遂げようとも、お前自身は
寸分の生長をもなし得てはいないのだ。そしてこの浅ましい行為によってお前は本当の人....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ると、もう誰の蔭になったか人数に紛れてしまった。それだ、この人は、いや、その時と
寸分違わぬ―― と僧は心に――大方明も鐘撞堂から、この状を、今|視めている夢で....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
したが、ここで実物を拝見しますと、その大さと言い、錠前のある位置と言い、ほとんど
寸分の違いもありません。……不思議です。……特に奇蹟と存じますのは、――家の地続....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
入道の名に謳われ、かつは、硯友社の彦左衛門、と自から任じ、人も許して、夜討朝駆に
寸分の油断のない、血気|盛の早具足なのが、昼寝時の不意討に、蠅叩もとりあえず、ひ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
朱塗りの装具といい、又それを包んだ真紅の錦襴の袋といい、生前現世で手慣れたものに
寸分の相違もないのでした。私は心からうれしくお爺様に厚くお礼を申上げました。 ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
が帰りました時に内のお婆さんがその通りいいました。ねえ、親方、どうですお婆さん、
寸分違わねえ、同一こッたい、こいつあ面白えや。」と少しかすれた声、顔をしかめなが....