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寸土
「寸土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寸土の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蛇の死」より 著者:海野十三
幸い途中で誰にも見られなかった事は、彼等にとって何よりであった。 「土岐さん、一
寸土岐さん!」 大声で揺り起されて土岐健助が、宿直室の蒲団の中からスッポリと五....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
場末の一町内にも足らぬが、大なる人情の眼は唯|統計を見るであろうか。東京は帝都、
寸土寸金、生が盛れば死は退かねばならぬ。寺も移らねばなるまい。墓地も移らずばなる....
「奇怪な話」より 著者:豊島与志雄
た時には、もう皮膚がかさかさになっていた。それを、池から二間ばかりのところに、一
寸土を掘って、埋めてやったのである。夕方なので、急いで、尾の先がまだ少し土から出....
「土の中からの話」より 著者:坂口安吾
けがえのある物ではないので、世界の大地がどれほど広くても、農民の大地は自分の耕す
寸土だけで、喜びも悲しみもただこの
寸土とだけ一緒なのだ。ただこの
寸土とそれをめぐ....
「三国志」より 著者:吉川英治
船を支配させて、三江の守備を厳になされたら如何です。彼らはかならず死守して荊州の
寸土も敵に踏ませることではありません」と、思うままのべた。 劉表は同意した。玄....
「三国志」より 著者:吉川英治
たび恥を知り恩を知る呉の精猛が、一体となって、必死の防ぎに当れば、曹軍何者ぞや、
寸土も呉の土を踏ませることではありません」 さっきから黙って傍らに聞いていた孔....
「三国志」より 著者:吉川英治
魏兵五万は、漢中から積極的に蜀の境へ出、その辺の嶮岨に、霧のごとく密集して、 「
寸土も侵させるか」と、物々しくも嘯いていた。 正面の敵は、馬超だった。――馬超....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、嵯峨野のおくには、平家のきずなや権門を遁れ出た無髪の女性たちには、修羅の外なる
寸土の寂地がゆるされていたともいう。 「……そうだ。都に行けば」 彼女の思案は....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
れば、この高氏などは」 と、いつも辱じた。頼朝は十三で配所の身(流罪)となり、
寸土も一兵も持たない身から起ったのである。――自分は小さくとも足利ノ庄の守護であ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
かどとみかどの争いだ。 二つの日輪がせめぎ闘うて全土の上に燃え狂うときは地上も
寸土をあまさぬ血に染まるだろう。 ……正成は寝返りを打った。老人のように、その....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
し、ゆらい、九州の豪族間ではまた豪族同士で、この狭い領土を侵し合って、すきあらば
寸土でも自家の勢力を伸ばそうと、互いに虎視眈々と境をせめぎあっていたのでもある。....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
四分ノ一弱、なんでお返しなされますか」 「正成が亡きあとは、旧領はおろか、河内の
寸土を保つのさえ容易でなかろう。また正行のためにも、しかるべき者、いくらかは残し....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
しみに頭をつかった。海路といえ陸路といえ、毛利家の兵力や三好党の密偵のいない所は
寸土もないくらいだから、危険と思えば限りもなく危険だったが、分別者のようでも、や....