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寸心
「寸心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寸心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
にしてはなんと内気なと、紀代子は嗤って、振り向きもしなかったが、彼の美貌だけは一
寸心に止っていた。(誰それさんならミルクホールへ連れて行って三つ五銭の回転焼を御....
「草枕」より 著者:夏目漱石
帯晴暉。聴黄鳥宛転。観落英紛霏。行尽平蕪遠。題詩古寺扉。孤愁高雲際。大空断鴻帰。
寸心何窈窕。縹緲忘是非。三十我欲老。韶光猶依々。逍遥随物化。悠然対芬菲。 あ....
「支那米の袋」より 著者:夢野久作
ううちに帽子を冠って外套を着て、どこかへ出て行ってしまったの。 妾、そん時に一
寸心配しちゃったわ。ヤングがそのまんま逃げて行ったのじゃないかと思ってね……だけ....
「旅愁」より 著者:横光利一
たそこでの自分のことも思い泛べたらしい眼鏡の光りだった。
しかし、矢代だけは一
寸心が詰るように由吉の話を聞いていた。というより、千鶴子と自分のいる前で、そのよ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
昨夜は九州の五島列島の灯を左舷に見た。日本の最南端の灯台が明滅しているのが一
寸心細いような、愉快な心地がした。海は静かだ。二等のスモーキングルームで林君や、....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
国文芸院の成立やその大衆文芸班に相当する「日本国民協会」の発展などは、さし当り一
寸心細くなって来たようである。但しそのお膳立てをする任務を某方面から委任されてい....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
自分はともかく折角気をつけて下さるあなたに相すみませんから。 うちに、代って一
寸心やすく行ってくれる人でもあるといいのですけれどね。この家も全く風変りだから。....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
」 彼は唇の片隅に微笑らしい影を浮べて天井に眼をやっていた。それを見て信子は一
寸心を落付けた。そして深く溜息をしながら答えた。 「私、またカフェーにでも出ます....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
、保子の清い露《あらわ》な眼はちらと瞬いて、長い睫毛の奥に潜んでしまった。彼は一
寸心の置き場に迷って、前にあった珈琲椀を取り上げた。何だか黙って居れなかった。 ....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
そういう癖ばかりではないらしかった。何かしら意識的な努力の跡が仄見えた。昌作は一
寸心を打たれざるを得なかった。それと共に、今迄禎輔と対座中、自分が殆んど一言も口....
「都会の幽気」より 著者:豊島与志雄
白そうな書物を読み耽った。物語の興味に惹かされて、一時間も読み続けてるうちに、一
寸心に疲れた弛みが出来ると、しきりに右手の斜め上の方が気になり出した。其処に何や....
「裸木」より 著者:豊島与志雄
「なに、どうでもいいことなんです。」 武田と敏子とからじっと見られて、佐野は一
寸心の置き場に迷った。 「君が変なことを云い出すものだから、実地に証明してやろう....
「金魚」より 著者:豊島与志雄
た。 本屋の店先で雑誌を覗いていると、小僧が変な眼付でじろじろ見るので、彼は一
寸心を曇らした。 「今日は一日愉快に暮すんだ、御馳走でも食べよう。」と彼は考えた....
「雨」より 著者:織田作之助
らかに失敗であった。不良中学生にしては何と内気なと紀代子は笑ったが、彼の美貌は一
寸心に止り、誰それさんならミルクホールへ連れて行って三つ五銭の回転焼饅頭を御馳走....
「俗臭」より 著者:織田作之助
と何んぼう違いくさるかと三亀雄は腹立った。博奕で二百円もうけたことを想い出して一
寸心が慰った。児子家の娘達は、安らかに寝た。寝る前に、皆、オリーブ油を顔につけた....