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寸暇
「寸暇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寸暇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
くことになったという。 二月十三日 ◯徹ちゃん、香取航空基地より親子を連れて、
寸暇に顔を出してくれる。十五日はいよいよ九州へ飛行機で出発とのこと。十一時頃来て....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
自分の祖父は医師と卜者を業とし、四方の村々から療治や占いに招かれて、ほとんど
寸暇もないくらいであった。彼は孫真人が赤い虎を従えている図をかかせて、それを町の....
「一つの思考実験」より 著者:寺田寅彦
私は現代のあらゆる忙しい人たち、一日も新聞を欠かし得ないような人たちが、試みに
寸暇をさいてこういう思考実験をやってみるという事は、そういう人たちにとって非常に....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
また低い声ではじめた。 「あんたも家の事情は知っているだろうね、長兄さんも銀行は
寸暇もなく忙しいし、それに事変が始ったのでいつなんどき召集されないとも判らないん....
「地球要塞」より 著者:海野十三
かりである。元首は一昨日以来、ベルリンにおいて閲兵《えっぺい》と議会への臨席とで
寸暇もなく活動している。因《ちな》みに、ベルリン市には、数年前から一人のアラビア....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
物に出会うとどうあっても描いてみたいので、そこに理由や理屈を見出しているのんきな
寸暇が見出せないのである。それは恋愛としかしてそれに続く性慾の性急にも似ていると....
「連環記」より 著者:幸田露伴
ことと見える。随分奇異な先生ぶりではあったろうが、何も当面を錯過するのでは無く、
寸暇の遊心を聖道に運んでいるのみであるから、咎めるべきにはならぬことだったろう。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
中、しばしば形と影とが相離れた経歴はあるが、それはホンの戯れ、しかも、米友自身は
寸暇も責任をゆるがせに感じてはいないのに、道庵先生そのものが、ふざけきっているの....
「風俗時評」より 著者:豊島与志雄
でか、日常の私生活に於て、妙に精力を蓄積する術を心得ている。汽車や電車の中などで
寸暇をぬすんで仮睡する才能なども、その一つの現われであろうか。下らなく動き廻った....
「落雷のあと」より 著者:豊島与志雄
していました。印刷機械其他万般の修理復興や、急激に輻輳してきた仕事の註文などで、
寸暇もない有様でした。体力と精神力を睨み合せて、働けるだけ働くというのが、彼等仲....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
た。いつ拝謁しても、書物を御覧になっているか、書物《かきもの》か、器物の調査か、
寸暇も、手を、頭を、眼を休めない斉彬であったし――こうした、眼を閉じた斉彬、頬に....
「蝉の美と造型」より 著者:高村光太郎
終ると忽ちぱっと飛び立って、慌ててそこらの物にぶつかりながら場所をかえるや否や、
寸暇も無いというように直ぐ又鳴きはじめる、あの一心不乱な恋のよびかけには同情せず....
「探巣遅日」より 著者:佐藤垢石
空には遙かに、浅間山が薄い煙を越後の方へ靡かせていた。雲雀の雄親は子供へ餌をやる
寸暇を盗んで自慢の美声に陶酔するのであろうか。高い空で快く啼いている。黄色い蝶と....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
は町|住居の看護婦、身綺麗で、容色も佳くって、ものが出来て、深切で、優しいので、
寸暇のない処を、近ごろかの尾上家に頼まれて、橘之助の病蓐に附添って、息を引き取る....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ないが、一刻も徒然としておることなく、朝起きてより夜寝るまで遊戯遊動に従事して、
寸暇を余さぬほどである。西洋の諺に「よく働きよく遊ぶ」とはこのことであろう。 ....