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寸歩
「寸歩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寸歩の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八十八夜」より 著者:太宰治
ば、ならないのか。そんな素朴の命題も、ふいと思い出されて、いまは、この闇の中の一
寸歩きに、ほとほと根も尽き果て、五月のはじめ、あり金さらって、旅に出た。この脱走....
「家」より 著者:島崎藤村
こう叔母に言われて、正太は垣根越しに家の内を覗いて見た。 「叔父さんは?」 「一
寸歩いて来るなんて、大屋さんの裏の方へ出て行きました」 「じゃ、私も、お裏の方か....
「火星の魔術師」より 著者:蘭郁二郎
は、火星観測には持って来いなんだよ」 「そりゃそうかも知れんけど……、その辺を一
寸歩いて見ませんか、星が出るまでにはまだ間がありますよ」 「うん……」 大村は....
「天馬」より 著者:金史良
を感ずるばかりだった。とうとう優美館裏あたりの大分淋しいところまでやって来た時は
寸歩も足を運ぶことが出来ないまでにくたくたに疲れ、一先ずそこらのとあるきたならし....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ったすぐの角家です。小さい門があって、わり合落付いた苔など生えた敷石のところを一
寸歩いて、格子がある。そこをあけると、玄関が二畳でそこにはまだ一部分がこわれたの....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
裏の家主さんのところにあります。
家、きのう、正門の前の自動電話の横を入って一
寸歩いて見ましたが、全然駄目ね。きょうこれからおひささんを出して見ましょう。下駄....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
けれども。床はしいてありますが、夕飯などは下へ行って皆とたべて居ります。この間一
寸歩いたというようなことは直接さわってはいず、寧ろ、この間うちから、何しろ未曾有....
「湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
た。 「私は何時までもこの湖水を守っていますから……またどうか……。」 女は一
寸歩み出した足を止めてじっと彼女の顔を見たが、そのまま眼を地面に落した。そして低....
「三国志」より 著者:吉川英治
いうのだ」 ※統は一笑に附していう。 「火事場の中で、日頃の礼法をしていたら、
寸歩もあるけますまい。あなたのおことばは天理人倫にかなっていますが、世はいま乱国....