寸秒[語句情報] »
寸秒
「寸秒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寸秒の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
い――。そういうすべての要素を具備しているのが、この手働四輪車でして、その犯行は
寸秒の間に、声を立てる間がなかったほど恐ろしい速度で行われたのでした。ですから、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
さもありなん御心底もお察し申すが、なにしろ、そのことは重にして大、なかなかここで
寸秒の座談に尽すというわけには参らぬ、拙者も門跡へ出仕の身でござるによって、ただ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
その例外の時である――深い淵《ふち》が、無数の人々の共通な魂が、一閃の光によって
寸秒の間てらし出されるときである。その共通な魂の力が、一人の俳優のうちに表現され....
「小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
チームがなかった。寒気のために、全身の顫えがとゞまらず、鼻から、口から、まったく
寸秒の暇なく洟汁が流れ、こみあげ、私は吐き気のために、そして、それを抑えるために....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
の光りなどにも、何となく、目前の不吉を予知しているような兆が現れているので、最早
寸秒さえも吝まなくてはならぬ時期に達しているのではないかと思われた。勿論光子は、....
「妖怪学」より 著者:井上円了
中には空間の大小、時間の長短を知ることあたわず。重ねたる足の落ちたるは、わずかに
寸秒の間なり。しかれども、夢中には橋を渡りて落つるなど、すこぶる長時の考えをなす....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
をかぞえていると、その時間は、呼吸のかずにして約十五か、二十をかぞえるに足らない
寸秒の間であった。 武蔵の全身も血。 残っている十人ほどの牢人もみな血まみれ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
助にも、お互いが敵を観る間を持って悠々構えているように思われるであろうが、事実は
寸秒に次ぐ
寸秒で、わけても権之助の棒は、眼ばたきする間も停止していない。 ――....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
とはしない。 「万事休すか」 死の座は、無力の座だ。いやおうなしだ。とたんに、
寸秒の刻々も、具行には、心ぜわしい。 直前の死が描き出す、幼時の父母のおもかげ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
軍はそのとき限り時代の墳墓に埋没され去ッていたことであったろう。――時運の機微、
寸秒の作用のふしぎ、それらをあとでかえりみれば、人意人力のほかに、また一つの、天....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
いうのかもしれなかった。自意識でなく現実の自己は突っ放している。そしてほかに何か
寸秒の転機でも待つかのような無表情をただその顔に持つだけだった。 すでにどこか....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
なことばではいいきれない変化である。そのいやな変化は人間のいる所につきまとって、
寸秒の無変化もゆるしてはおかない。 こんなことを考えられていては、ミス神戸たち....