寸隙[語句情報] » 寸隙

「寸隙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

寸隙の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
外科室」より 著者:泉鏡花
、一同はもとよりかの医博士に到《いた》るまで、言《ことば》を挟《さしはさ》むべき寸隙《すんげき》とてもなかりしなるが、ここにおいてか、わななくあり、面を蔽《おお....
婦系図」より 著者:泉鏡花
した広小路は、二階の燈と、三階の燈と、店の燈と、街路の燈と、蒼に、萌黄に、紅に、寸隙なく鏤められた、綾の幕ぞと見る程に、八重に往来う人影に、たちまち寸々と引分け....
古井戸」より 著者:豊島与志雄
。」 「あすこが開いてるから。」 彼女の指さす方を見ると縁側の、欄間の板に二三寸隙間が出来ていた。 「寝てると、夜中にあすこから、外が見えるの。」 彼は初め....
伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
字が太く賑やかに刷られて居るのも、他の国のとは自然違う感じです。 道端、街角、寸隙の空地、あらゆる所に樅の小林が樹ちます。ベルリン郊外の森林から伐り出して来る....
丸の内」より 著者:高浜虚子
理している間でも、ちょっとそれを見てうなずいてくれる。そうして、他の書留便に移る寸隙を見て、切手の上に日付のスタンプを捺して前の籠にポンと抛り込む。すべて敏活で....
寒中滞岳記」より 著者:野中至
地なく、かつ隔時観測を為しつつあるを以て、睡眠の隙《すき》を得ず、加うるに意外の寸隙《すんげき》より凜冽なる寒気と吹雪との侵入|烈《はげ》しきを以て、これを防ぐ....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
と、歯軋りをした天堂一角、樫柄の槍を抱えなおして、疾風のごとく追いかけたが、その寸隙に十|間ほどの隔りができていた。 弦之丞は、一八郎を救うこと、またお米のこ....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
のれの勇を過信して、一人の剣を交わし左右の敵を電瞬に切って捨てたくらいでは、その寸隙に八面の殺刀が、たちどころに一人の相手を蜂の巣と刺激するに足るであろう。 ....
三国志」より 著者:吉川英治
その上、退路も絶たれる様子に、このまま手間取っては、一命も危うしと感じたか、寸隙をねらって、馬に一鞭をあたえて逃げてしまった。 張飛は、この優位逃すべから....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
か。 余りに現実的なということは、それほど、現実の世界が、現実以外にかえりみる寸隙も人間に余裕をもたせないほど、国際闘争に、社会事情に、各箇の食や住や職業の問....