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対向
「対向〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
対向の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ちのあとは、虫蝕と、雨染みと、摺剥けたので分らぬが、上に、業平と小町のようなのが
対向いで、前に土器を控えると、万歳烏帽子が五人ばかり、ずらりと拝伏した処が描いて....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
と長い顔を傾ける。 二 「同役とも申合わせまする事で。」 と
対向いの、可なり年配のその先生さえ少く見えるくらい、老実な語。 「加減をして、う....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
も悪く、気も沈んで、太く疲れているらしかった。 寒気がするとて、茶の間の火鉢に
対向いで、 「はじめはそんな席へ持出すのに、余り栄えな過ぎると思ったが、――先刻....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の像を作り、それから、数百万年の旅を続けて球の外圏を廻ってから、今度は背後に当る
対向点まで来ると、そこで第二の像を作ると云うのです。しかしその時には、すでに太陽....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
「ヒイ、ヒイヒイ!」と唐突に奇声を放った、濁声の蜩一匹。 法師が入った口とは
対向い、大崩壊の方の床几のはずれに、竹柱に留まって前刻から――胸をはだけた、手織....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、戸の外にばかり茂りたれば、広からざる小路の中を横ぎりて、枝さきは伸びて、やがて
対向なる、二階家の窓に達かんとす。その窓に時々姿を見せて、われに笑顔向けたまうは....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
った。 「道、」 「は、」と、答をし、大人しやかな小間使は、今座に直った勇美子と
対向に、紅革の蒲団を直して、 「千破矢様の若様、さあ、どうぞ。」 帽子も着たま....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
るのに、その洋燈を載せながら話したが、中頃に腰を掛けた、その椅子は、患者が医師と
対向いになる一脚で、 「何ぼ、男でもヒヤリとしましたそうですよ。」 と愛嬌よく....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
裙短に、草履|穿で、日に背いたのは緩かに腰に手を組み、日に向ったのは額に手笠で、
対向って二人――年紀も同じ程な六十左右の婆々が、暢気らしく、我が背戸に出たような....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ものとなっている、ドイツ帝国の選良階級の恐るべき腐敗を、クリストフの説にりっぱに
対向せしめ得るはずであった。しかしシルヴァン・コーンはそれを利用しようとは思わな....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
は逃亡したのだという噂《うわさ》まであった。ジャンナン夫人は人々の興奮した不安に
対向するのが容易でなかった。も少し待ってくれるようにと懇願し、夫はきっと帰ってく....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
にし、そうして容貌を妖艶にし、そうして動作を高尚にし、それを武器として大詐欺師に
対向り、大詐欺師をして屈伏せしめ、白金三十枚を詐欺師の手から、巻き上げようとした....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
っている。こっちで、ひしと女に寄ろうとする、私の膝が石のようにしびれたと思うと、
対向で松の幹を、少年がずるずると辷って落ちた。 落ちると同時に、その向うの縁に....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
手車で病院へ駆けつけようという早手廻。 卓子を傍に椅子に倚って、一個の貴夫人と
対向いで居た。卓子に相対して、薬局の硝子窓を背後に、かの白の上服を着たのと、いま....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
ね。」 「怪我ぐらいはするだろうよ。……知己でもない君のような別嬪と、こんな処で
対向いで話をするようなまわり合せじゃあ。……」 「まあ、とんだ御迷惑ね。」 「い....